ヤドクガエルの飼育日誌 vol.03 [1999年2月20日〜3月1日]




やったぜ、プミリオ!!

1999年3月1日(月)
 とうとう、日本に毒イチゴが大量上陸した。その余波は、我が研究所のような私設弱小団体にも確実に伝わってきた。
 そう、ついに念願のD.pumilioが我が研究室にやってきたのだ。
 3粒の小さな毒イチゴ、おぉ、動いている、目の前で……。導入後数時間、その姿が私と衛生管理部長の心を捕らえてはなさなかった。
 憧れだったD.pumilioがついに手に入ってしまった。それもこんなに早く、突然に。もう、何がなんだか訳が解らないくらいくらい興奮している。それこそまるで夢の中にいるようである。小柄な深紅のボディ、濃紺の細い手足、背中から脚までちらばる黒いスポット、それら全てが私を魅了する。店に居たD.pumilioを全て買い占めなかったのが我ながら不思議なくらいだ。
 D.pumilioを飼ったらこうしよう、ケージのサイズはいくつにして、植物で埋め尽くされたようなビバリウムをつくり、温度はこうして、餌はなにがいいのか、繁殖させるにはどうしよう???……それら全ての想像・妄想が今現実のものとなり、私はそのスタートラインにやっと立つことができたのだ。
 先ずはこの3匹をキープし、状態良く飼育しつづけることが最初の命題である。
 今回の入荷は、今年一年、日本に上陸するであろうD.pumilioの第一便と言う話を聞いたのだが、目の前に原物を突き出されては、堪えようがない。繁殖難度超A級のD.pumilioであるから、今回入荷した個体は全てWildであるにもかかわらず、入った先から売り切れていっている。そもそもの数が少ない上に、D.pumilioは繁殖させるのが難しいため、WCでも人気が高いのだ。
 目の前で飛ぶように売れていく彼らを見て、誰が堪えられようか! いや、堪えられまい!!
 Wild Skyの松園さん、ハチクラの渡辺さんとも、今回の入荷はとても調子が良いと言っていた。それでなお、私の「欲しい病」に爆発的な速度がついたのだ。
 そんな話を聞いたので、うまいこと我が研究室でも長生きしてくれればと、今回購入に踏み切ったものである。
 今回、大量入荷したことで飼育者がふえ、情報が密に取り交わされることにより飼育技術が少しでも向上し、人工繁殖への糸口が見つかればと思っているのは、私だけでは無いはずである。




カメラを近づけると、さすがに怯む。

●ケージサイズ:90cm×45cm×45cm
 収容している蛙:D.leucomelas×4匹

 その後、レウコの鳴き声は聞こえなくなってしまった。それとなぜか、例の流木の洞は引き払われ、雌と思われる個体はNeo. Red of rioの葉腋で寝起きしている。
 最近は、ビバリウム内に植える植物の方にも興味がわいてきており、ブロメリアの本などを買って本格的に(と言っても先ずは学名を覚える程度になるが)やってみようかと思っている。
 新しいのを買って種類を増やすのもいいが、先ずは今あるものをきちんとしようと思って、ビバリウム内をチェックした。やはり、もっとも気になるのは、この90cmビバリウムに入れてある、赤いSpots&Dotsである。
 葉先が萎れてきたので鉢植えにして調子を回復させようと、Wild Skyの松園さんにいろいろアドバイスをいただき、用品を揃えて「さぁ、鉢に移そう」と言う段になって、株を挟んである流木から引き抜こうとしたところ、これが意外にもしっかり根付いてしまっていて抜けなかったのである。
 ならばしょうがない、とほっておくことにしたのだが、何か手をこうじなければこのまま萎れて枯れてしまうのは目に見えている。さて、どうしたものか???
 そして何故だかと言うか、危惧した通りと言うか、南米産以外の植物を植えたくなくなってきてしまった。これは、瀬山さんの巨大ビバリウムを見せてもらったあの日以来、胸の中でくすぶっていた感情であった。
 ミニ観用ビバリウムを卒業したいと……。
 それをやるにはまず知識が必要で、知識を得るには情報が必要なのである。と言ってもやはり、本の値段を考えると先に「植物そのもの」に手がのびてしまう堪え性のない私なのであった。




ベントリの雌。


向こうに見えるのはプミリオのビバリウム。

●ケージサイズ:45cm×45cm×45cm
 収容している蛙:D.ventrimaculatus×2匹

 ヴェントリがまた産卵した。雌が急に痩せたな……と思ったら、いつもの場所に産んであったのだ。今回の卵は3つと数が少なかった。
 色々な方々から意見を聞き、オタマになるまでほっておいてみようと考えていたのだが、今回はその前にひとつ試したいことがあって取り出してみた。
 ひとつは既に溶け崩れており、残りは二つとなったが、四日程で発生がとまった一つが溶けてしまい、残り一つは一応オタマになった。
 試したいことと言うのは、前回書いた卵を水に浸けないという方法であったが、やはり確実では無く、オタマになるまで産んだ場所にほっておくのが最善かと思われた。
 孵化したオタマであるがまるで元気が無く順調に育ちそうに見えない。今後、オタマ飼育用の水槽でカップごと管理しようと思うがうまく育ってくれると良いのだが。




プミリオ到着。

●ケージサイズ:45cm×30cm×28cm(+18cm)
 収容している蛙:D.pumilio×3匹

 ついに飼育を開始したプミリオである。今回購入した個体は全て通称「ブルージーン」と呼ばれるタイプで、一般的に広く知られる、赤い身体に青い手足というD.pumilioの代表的な色合いを持つ。
 ヴェントリでもそうであるが、彼ら樹上棲のデンドロバテスは身体の割に頭が大きく目がぱっちりしている。この辺が人々を「キューン」とさせる秘密であろうか。
 購入先はハチクラであるが、3匹とも店長の渡辺さんが手づかみでおにぎりのパックにつめてくれた。この「手づかみ」でというのがミソであったのは言うまでも無い。
 そう、相手はプミリオトキシンなる毒を有する矢毒蛙なのである。しかもWild。
「プミリオって毒は大丈夫なのかなぁ……」と話をふられたので、有毒研究室の研究員である私としては勇んで「プミリオは始終毒を出してる訳じゃ無いはず……」答えたのだが、その答えは全然ハズレだったようで、蛙をパックにつめ終った渡辺さんは「手がスースーする」と言い出し、店員さんに「プミリオをつめる時は気をつけるように」と、指示を出されていた。
 以前Wild Skyで、ある毒ガエルを松園さんと奥さんが触ったあとの感想(症状)も「手がひりひりする……」とか「スースーする」とかいったものだった。
 蛙の毒は一様にそんな症状を示すものなのだろうか?
 この毒に関する事にはかなり興味を惹かれるが、とりあえず私は試さないでおこうと思う。
 まぁ、どんな生物にしろ、飼い初めは気になるものであり、それが念願の相手とあれば見ていたい気持ちも一層高まると言うものである。


太ってるなぁ、マンテラ(涙)。

 購入当日は、プミリオと一緒にマンテラやアテロプスの仲間、リードフロッグなど、4種8匹もの小さな蛙を持ち帰ったために、ビバリウムの急造や、配置換えなどでてんやわんやとなり消灯までの1時間ほどしか観察できなかった。
 プミリオを入れたビバリウムはついさっきまでオーラタスが入っていたもので、オーラタスを60cmに移してから、プミリオ用に改造したものである。
 すぐにはビバリウムに馴染むはずも無く、3匹ともウロウロしていたが、翌朝にはしっかりと姿を隠していた。ある個体は落ち葉の影に隠れており、ハエを与えるとすぐに顔を出して食べ始めてくれた。なんとも可愛らしい姿である。もう一匹はアナナスの葉腋にちょこんとおさまり、残る一匹は姿が見えない。
 タイミング的に、昨日Wild Skyで松園さんに見せていただいた、ブロメリアの本に載っていた真っ赤なネオレゲリアの印象が強く、ああいう赤い葉の中に居たら、プミリオの赤さも保護色になっているのだろうか???などと、ロマンチックなことを妄想してしまった。




あんまり隠れてるんで、この模様がだんだん忍者のように思えてきた。

●ケージサイズ:60cm×36cm×30cm(+18cm)
 収容している蛙:D.auratus×2匹

 プミリオが研究室にくることになる前から、オーラタスはこの60cmに移そうと思っていたのだが、まさかこんなに急な展開になろうとは、彼らはもとより私でさえ考えなかったことだった。
 トキタ式スーパーアタッチメントの扉部分を直し、シェルターを設置して植物を植え直す。その時間、約20分。今後、植物の数を増やすとしても、ありもので作った割りには良い感じに出来上がった。
 45cmから4匹を取り出しプラカップに入れてビバリウムをセットしているあいだに、カップの蓋がなぜだか開いてしまい、一匹が逃げ出してしまった。すぐに保護できたから良かったものの、こういった気の弛みからくる事故は絶対に避けなければならない。


久しぶりにちゃんと姿を見たオーラタス。

 突然新しいビバリウムに放り込まれたオーラタス達であるが、さっそくどこかに隠れて姿が見えなくなってしまった。しかしその後、数時間研究室を空けたあと、ハエを作ろうと思って戻ってくると、一目散に逃げ去る彼らの姿が見えた。何にしても元気そうで何よりである。
 扉部分の接着剤がなんらかの悪影響を与えないか心配だったのだが、一発で突然死なんて事にはならないで済んだ。まぁ、ケージの内側に使った訳では無いので大丈夫だとは思っていたが。



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