ヤドクガエルの飼育日誌 vol.10 [1999年6月10日〜6月30日]




いいカンジに見える2匹のラーマシィ。

6月10日(木)
 竜巻きのピー・フェイズどころか、レウコは産卵さえしない。なんだか去年はベントリでとんとん拍子に産卵→オタマ→変態→上陸までしてしまったので、そのせいかどうかは解らないが、各方面から我が家のレウコに期待が高まってきている。
 なんだか期待されると言うのはウレシイものである。
 しかし、全然期待外れなこの状態、これはかなり恥ずかしい。「なんだよ、トキタ、やっぱりまぐれか」と後ろ指をさされかねない……いや、もう既にさされているのかも。
 そこで私は、現状を打破するために、レウコとベントリレッドのビバリウムにフィルムケースを入れることにした。白のフィルムケースしかないので、落ち葉でなんとかカモフラージュして使用してみようと思う。
 今後の報告を期待して待たれたい。……と、自分を追い込む。
 そんな肩スカシ状態のレウコとベントリを横目に、ラーマシィが良い感じになってきた。
 毎朝晩様子を見ると、いつも2匹でいっしょのネオレゲリア、しかもごく近い葉腋に入っている。いつも一緒に……ムフフ。しかも、しかもである、2匹とも身体が大きくなってきて、体型に差が現れたのだ。まぁ、それもプミリオで懲りているのであんまり期待はしてないが、ムフフって気分にはなる。




ベントリ雄。

6月14日(月)
 一昨日、レウコとベントリのビバリウムにフィルムケースをセットした。レウコの方に6個、ベントリの方は1個……はたしてどうなるだろうか。
 レウコの方はあいかわらず鳴いてはいるものの、求愛行動のような動きは見えない。比べるとベントリはまだ活発で、オスが頻りにメスを誘っているのが見て取れる。
 ずっとほっぽらかしにしていたベントリはなんだかオタマが大きく育っていた。ネオレゲリア・オレンジの子株を植えたのはもうかなり昔の事で、そこに何度も産卵したのは知っていたが、まさかここまで大きくなっているとは驚いた。
 驚いたのは良いけれど、今度は大きすぎて取り出すことができず、しょうがなくこのまま見守ることにした。なんとかうまいことフィルムケースに運んでくれると良いのだが。



捕まえてきたアマガエル。

 最近、庭においてあるネオレゲリアにアマガエルが住みついた。矢毒ばりの隠れ方でなかなか興味深い。どこから餌を手に入れてるのか不思議だが、なんとかなっているのだろう。一度捕まえて空いているビバリウムに入れてみたが、なんだか暴れるばかりでイマイチだったので庭に戻した。そもそもすぐそこに棲んでいるものを捕まえると言う必然性がない。彼に会いたければ、庭のネオレゲリアを覗けば良いのだから。メンテナンスフリーだし。


 話がそれたので、我が家の矢毒に話を戻そう。
 オーラタスは相変わらず調子が上がらない。なぜなのか? 謎である。レウコに比べて貧弱だったガラ、そして2匹のガラのうち、かなり調子が悪くなってしまった個体でさえ立ち直ったと言うのに、オーラタスだけが不調なのだ。このままでは竜巻きのピー・フェイズをつくるのは不可能になってしまう……。
 そろそろ夏が近づいてきており、昼間の気温は27℃を超えるような日が続いている、我が研究室はサラマンダーやマンダリンラットスネークなどの「冷やもの」がいるので、昨日から昼間の間は冷房をかけるようにした。


左:一匹はいつもここにいる。右:もう一匹はうろついている。

 それにともなって蛇達のケージを移動し、蛇達がいたラックにラーマシィとパングアナのビバリウムを置くことにした。場所的にエアコンの吹き出し口に近づいたため、蛍光灯がついている状態でも温度は27℃を下回っている。元の場所では冷房を効かせても30℃がやっとだったので、これで多少は過ごしやすくなったであろう。


パングアナの方はこの一匹しか姿が見えない。

 パングアナは少し前から1匹しか姿が見えず、衛生管理部長ともども心配している。多分生きているとは思うのだが。
 もうひとつ、ここのところハエがすこぶる順調である。これは飼育部屋とは別の部屋に水槽を置き、水槽に水をはってハエの瓶を管理しているのと、使い終った瓶を毎度毎度煮沸消毒しているからである。この辺は、ハエ・コオロギの管理が衛生管理部長の管轄下に移ったためであり、私の功績ではない。ちなみに、コオロギもSS〜Sサイズは順調に殖やす事ができている。さすが事務の達人である。
 しかし、衛生管理部長が手塩にかけて育てた新鮮ハエ&コオロギをふんだんに与えているのに、なぜ、オーラタスは復活しないのか……。



6月29日(火)
 先週の日曜日、産卵を確認したベントリ・レッドの卵を1週間たったので取り出した。
 葉腋に乗った状態で、卵の中のオタマが動く様子が観察できたので、「いけるかも?」と判断したのである。
 産卵数は6、うち卵の状態で溶けているのが2、オタマになりつつあるのが4、そしてその中で死んでそうなオタマが1、結果、残りそうなのは3匹である。
 土曜日に卵を葉腋から取り出し、カップに移した。いつも思うことだが、結構しっかりくっ付いている。月曜日になって、卵に対する唯一の世話である濯ぎ(瀬山方式)を行っていたら、あんまり強烈すぎたのか、2匹が強制孵化されてしまった。この辺の大雑把なところが、私のイイとこなのか、ワルイとこなのか……???
 ともかくも、2匹生まれてしまったので、もう2匹も強制孵化させた。
 明けた火曜日の朝、まぁ、今朝の話だが、1匹はいつものごとく膨れてしまい、もう1匹もヤバい。健康そうに見えるのは3匹の中で残る1匹だけだ。
 以前、膨らんだオタマをそのまま観察し続けたらやがて膨らみがおさまった事があるので、それに期待している。あの時はけっこう大きくオタマが育ったのだが、旅行でダメにしてしまった。



第一印象と全然違う、人目をはばからない性格がそろそろバレてきた。

 レウコ&ガラはすこぶる調子が良い。ひとつ言えることは、レウコが全然産卵しないと言うことだ。まぁ、私自身、それほど矢毒に情熱を注いでいるのか?と問われれば、「ハイ!」と答える自信が無い身だからレウコばかりを責める訳にも行かない。
 だいたいにおいて、産卵しない原因が解らないのだ。オスが鳴いているのだから、メスのやる気の問題だろうとは思うのだが。設置したフィルムケースには入るものの、中にあるのはコオロギとハエの死骸ばかりである。
 レウコにおいては、やはりメスがいない可能性も否めないので、何匹か買い足そうかと思っている。
 同じビバリウムに入れているオーラタスが、土曜日にまた1匹死んでしまった。当日は、河村さんが我が家に遊びに来ており、そんな時にビバリウムでカエルが死んでいるなんて、ちょっぴり恥ずかしい状況だった。
 オーラタスに関して言えば、瀬山さんには大変申し訳なく思っている。こんなところでいくら申し訳なさがってみても何も問題は解決しないのだが、申し訳ないものは申し訳ないのだ。
 ワイルドスカイで買い足したオーラタスも死んでしまい、残るは瀬山さんに頂いた片目の丹下だけとなってしまった。丹下は我が家にやってきてまだそれほど時間が経っていないが、同じ日に瀬山さんちの巨大人工熱帯雨林からやってきた同胞であるコブラが死んだあとも元気で暮らしている。
 時々その姿を見かけることで、私は少しだけ安心することができる。
 オーラタス、私にとっては飼育難易度が高い。



6月30日(水)
 1匹だけかと思っていたオーラタスが、2匹生きていた。丹下ともう1匹だ。
 しかし、こんな事からしても、私の観察が行き渡っていない事実が露呈している。これでは駄目だと解っているが、私はいま「飼いたい盛り」なのだ。
 熱帯魚もそうだったが、私の場合、やり初め1・2年とかはとくにその傾向が強い。欲しいものに手当りしだいに手をだし、手にはいる限り飼い倒す。
 それがおさまるのに、はたして何年かかるのやら。まだまだ爬虫・両生類は始めたばかりなので、先が見えないマラソンをしているようなものなのだ。それも他人が疑うぐらい、ガイキチなスピードで。  まぁ、なんの言い訳にもなっていないが。


 ついに、レウコがついに、産卵行動を起こした!!
 まだ産卵には至っていないものの、オスの誘いにメスらしき個体が乗ってフィルムケースを検分したりしているのが確認できた。
 本当にわずかではあるが、これは、私にとってかなり重要な前進だ。
 今朝、強烈な梅雨前線が日本を襲っていると言うこの朝に、我が家のレウコメラスは気合いを入れて鳴き続けていた。
 オスが2匹いるのでそれぞれの鳴き声が重なり、ハーモニーとなって、飼育部屋に響き渡っている。
 頬の黄色い小さなオスが、メスをしきりに誘っている。メスの前を歩き、お尻を小刻みに震わせながら、地面に擦り付ける動作を断続的に続け、メスの気分が高まるのをまっているようだ。
 頬の黄色いオスは、メスをネオレゲリアの葉腋に導こうとしていた。メスも興味をそそられ、ついて行く事をきめたようである。
 しかし、その時、まさに愛の巣の扉を先導のオスが開こうとしたこの時に、もう1匹のオスが、少し離れた場所から鳴き声をあげたのである。
 人間の耳で聴いて、その声は頬の黄色い小さなオスの鳴き声より力強く美しい。
 一瞬であった。
 その気になっていたメスは、一瞬で向きを替え、あとから鳴き始めた声の美しいオスの方へと近づいて行った。そしてその2匹、つまりはオスとメスは、ビバリウム内を伴だって検分し始めたのだ。
 その後、出勤の準備をしながら、時々ビバリウムを覗くと、フラレた頬の黄色いオスも一生懸命に鳴いて、取られたメスを取り戻そうとしている。
 メスは、また迷い始めたようだった。
「前のオスの方が、可愛らしかったかしら……???」と。
 この様子を見ていて、私はある考えを固めるに至った。
「オスが2匹いることが問題だったのでは?」
 先日我が家にいらした河村さん宅では、D.ファンタスティクスのペアが、仲良しこよしのまま全然繁殖行動を起こさないのだと言う。
 氏はここにファンタのオスを入れて刺激してみる。と言っている。
 私はこれを聞いた時、「だったら雄が2匹いるから、うちのレウコも盛り上がっているんだ!」と勝手に思い込んだ。
 しかし、河村さんのファンタはさておき、目の前の我がレウコの状況を見る限り、オスがメスの取り合いをするのは、ブリーディングには不利だと判断できる。
 断わっておきたいのは、それが「真実である」とか、そういうことではなく、我が家のレウコの場合の「正解」かも知れない、と言う点だ。
 またしばらくしてから見てみると、鳴いているオスにガラもオーラタスも興味を示している。凄まじいまでの、美声の威力だ。
 現在、90×45cmケージの未完成縦形ビバリウムは、数種のブロメリアを突っ込んだまま凍結状態にある。それをきちんと完成させ、レウコのペアを移動させるか、その他大勢を移動させるかしようと、私は今、目論んでいる。



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