ヤドクガエルの飼育日誌 vol.14 [1999年9月8日〜9月27日]



9月8日(水)
 レウコのオタマが孵化してから約20日が経った。
 オタマはそれぞれ順調に育っているが、身体の大きさに差が出てきた。1匹は明らかに他の3匹より大きく、体長は尻尾の先まで入れて20mmはあるだろうと思われる。
 私は今回、4匹のオタマのうち、2匹を1週間で強制孵化させ、他の2匹を自然に孵化するまで2週間待ってみるという実験を行った。そもそもなぜそんな実験を考えついたのかと言うと、ヤドクガエルについて書かれた洋書の中で、オタマジャクシを強制的に孵化させている写真があったからなのだ。
 しかし、私は英語を読む事が出来ないので、内容について解る訳でもなく、想像だけでそれにならってオタマを1週間で強制孵化させたのだが、この実験の結果、強制孵化させたオタマの方が成長率が悪いと言うことが解った。
 まぁ、テストケースが2匹だけでは不確かであるが、今後も機会があればこの実験を続けてみようと思う。ただ、私のズボラな性格上、精密な成長率データの回収が出来ないのが我ながら残念である。
 20mmに育った個体もいまだ模様はあらわれず、私はすでにやきもきし始めている。このオタマが純血レウコなのかどうなのか、早く知りたい……。



ベントリのオタマ。

 8月23日に生まれたベントリの卵もやはり1週間で強制孵化させてしまった。「しまった」と書いたのは、本当はそのつもりがなかったのに、「瀬山式卵濯ぎ」を行っていたら、オタマがぴょろっとでてしまったのだ。「もっと優しくしないといけないな」と反省したが、それではもう遅かった。
 孵化から10日が過ぎたが、やはり孵化時期が早すぎたのか、成長は鈍い。ただ、これは去年通りのスピードなのに隣にレウコのオタマがいて、急スピードで成長しているからそう思うのかも知れない。記憶は非常にあやふやだ。
 レウコのオタマに比べて、ベントリのオタマは生まれた瞬間からやはり小さい。卵の時はおなじ大きさなのになんでこんなに違いが出るのか、遺伝子の仕業とはいえやはり不思議だ。
 さらにベントリのオタマについてはちょっと疑問と言うか、ひっかかるふしがある。どうも色が薄いのだ。
 去年のオタマはもっと黒かったように思うのだが、今回のオタマは内臓がちょっと透けるくらい色が薄い。まぁ、個体差の範囲なのかも知れないが、成長してなんらかの特徴がでたりしたら、それはそれで面白いだろう。


 オタマの餌について、私は去年から日海センターの液体クロレラを愛用している。
 去年はいっぺんに10本も買って日海センターの人の度胆を抜いたが、私も学習したので、今年は1本ずつ買うようにしている。
 使用開始当初、JFNで「オタマの餌に液体クロレラをどうか?」という話をしたら、「矢毒のオタマは回遊して吸込むように食べる性質ではなく、削り取るようにして食べるから、向かないのでは?」との指摘を受けた。
 確かに観察してみるとわかるが、矢毒のオタマはじっとしたまま下向きの口をもぐもぐ動かす食べ方なので、クロレラを飼育水に溶かしても無駄であると思われるが、日海センターのクロレラは濃縮されているので、ある程度の濃さのまま沈澱するように与える事ができる。
 これにより効率良くお召し上がりいただける。
 この方法はエアレーションや濾過などを行わない飼育法でのみ実施できる方法だ。私の場合、オタマを個別に小さなカップに入れ、毎日スポイトで3/4程の水を替えるようにしているので、水を替える際に新しいクロレラを与えるようにしている。
 これがもし、20匹も30匹もオタマがいたらとてもじゃないが毎朝そんな事をする訳にはいかないので、やりかたを全て変えなくてはならないだろう。



向かって右手前に一個でてます。

 そして昨日、WSで購入したアダージョプランニングのケースが我が家に到着した。
 私が仕事で残業している時に、松園さんが届けてくださったのだ。私と部長は週末にでもそのケースを自分達の車に乗せてお店から引き取ってこようと思っていたのだが、とてもじゃないがうちの車には乗りそうにもないということで松園さんが松戸くんだりまで運んできてくれたのだ。有り難い事である。
 今はまだ、アングルも組んでいないのでリビングに梱包されたまま積んであるが、45cmの直方体とはいえさすがに5個もあると邪魔くさい。
 ひとつ箱から出して蓋と引き違い扉を取り付けたりしてみた。
 う〜ん、良い感じである。夢はムクムク膨らむが、仕事の方が忙しくて何も出来ない状態だ。しかも、週末も潰れそうな気配である。
 ケースの方は、まず上面のガラス蓋に隙間があり、小型のヤドクガエル及び餌であるショウジョウバエは逃げ出してきてしまうものと思われる。この辺りは、多少の対策が必要だ。
 引き違い扉部は始めから解っていた事だが、やはり隙間があり、こちらは隙間テープなどで塞ぐ予定である。
 この宿命とも言うべき隙間は、非常に危険な幅で、3令ぐらいのコオロギが抜けられる程度であり、小型のヤドクガエルが挟まるか抜けられるかと言った危うい幅なのだ。しかも、逃げられた経験のない人には「こんな隙間、大丈夫に決まってる」と思わせる幅でもある。
 賢明なる、我がページのお客様には、どんなケージにおいても、隙間対策だけは怠らないようお願いしたい。小さなミイラの悲しみは色んな意味でかなり重いものである。


●45cmビバリウム:D.ventrimaculatus×2匹

こちらを見ているベントリ雄。

 その後の産卵は相変わらず行われないが、2匹は良い感じでいつも一緒にいる。
 ビバリウム中央に植えてあったネオレゲリアが突如として枯れてしまった。子株は吹いているものの、他の植物の影になってしまい、一気に調子を崩したようだ。
 今になって解る事だが、こう言った草にカエルはしばらく前から寄り付かなくなる。
 樹上棲種を飼育していて、いつもカエルが寄り付かない草があったら、その草は調子が悪いと言う証拠かも知れない。


●45cmビバリウム:D.ventrimaculatus Panguana×2匹(?)
 先日、衛生管理部長が「2匹で一緒の葉腋に入り、重なっていた!」と鼻息を荒くして報告してくれた。
 私は、毎朝ちらっと見るだけなので全然気がつかなかったが、そんな姿を見せている事もあるそうだ。ただ、それだけではペアだと断定できないので、今後も注意深い観察が必要だ。
 一緒の葉腋に入っただけならプミリオだって入った事はあるのだから。
 そういえば、このパングアナのビバリウムでも一株ネオレゲリアが朽ちた。そしてやはりその株にカエルは寄り付いていなかったように思う。



9月17日(金)
 今日は朝から雨が降っている。時折激しく降る事もあるが、昼近くになってどんよりとした曇り空になってきた。
 こんな日は矢毒達の産卵が期待できる。私は朝からビバリウムに雨を降らせ、ブロメリアのタンクに水を溜めた。帰宅するのが今から楽しみである。


 その後のオタマであるがベントリ、レウコとも順調に育っている。
 驚いたのがベントリのオタマの成長率だ。なんだかここ4、5日でやたらと育っている。レウコのオタマの中で一番小さい奴などはもうすぐ追い越されそうな勢いだ。
 そろそろカップからだして、プラケか何かに移そうと思っている。


 パングアナはその後なにもない。


 最近は仕事の方が忙しく、休日も出勤になることが多くて新ビバリウムの設置はまったく手付かずだ。こればっかりは私の力ではどうしようもなく、いい加減クライアントにもわかってもらいたいものである。「お前らみたいのがオレのような浪費家を休日に働かせるから、景気が回復しないのだ」と。



9月21日(火)
 ここのところ仕事の忙しさが引き続いており、生き物達の観察も滞りがちである。
 レウコもベントリも前回の産卵以後、続けて産卵する様子はない。雨が降る度に産卵を期待してビバリウムに水をまいているのだが期待した通りにはなかなか行く訳もない。
 その後のオタマはほぼ順調でみな大きくなってきている。レウコのオタマの中で一番大きな個体は身体が変型してきており、そろそろ脚も生えようかといった感じである。
 強制孵化してしまって成長率が鈍い個体はあいかわらず小さく、変態も他の個体に比べて時期がずれてしまうであろう。体長だけとってもベントリのオタマに抜かれそうなくらいである。
 ベントリオタマは1匹だけだが去年よりもむしろ順調なようだ。身体がすごく太っていて、なんだかちょっと角張っている。当初、このオタマは色が薄く、内臓が背中側からでも透けて見えるぐらいだったので、ハイポメラニスティックか? などと勝手に盛り上がっていたのだが、最近めっきり黒くなってしまいがっかりしている。
 両種のオタマともまだ後ろ足も生えないし、模様もでない。早く模様がみたいところなのだが。



9月24日(金)
 オタマの脚がちょこっと生えてきた。
 ほんのちょこっとだが、脚の素みたいなのが生えてきたのである。そろそろ孵化してから一月が経とうとしており、液体クロレラも賞味期限が近づいている。今夜あたりから人工飼料を与えてみようと思う。
 しかしどんなに目を凝らしてみても模様はでていない。まぁ、去年のベントリも模様がでたのは随分と後だった気がする。


 少し前の話になるが、「ヤドクガエルの飼育日誌 vol.10」で、河村さんの話を書いたところ、河村さんから「トキタさんは勘違いしている」とメールを頂いたので、ここで訂正しておく。
 ペアになっているのに雄がもう一匹いるのは産卵の邪魔になるだろうが、河村さんちの場合は、雄のやる気そのものがないので、我が家とは場合が違うということであった。
 しかし、私が言いたかったことはそれとも少し違うのである。
 私は以前から河村さんが「いまいるファンタの雄と雌が繁殖行動を起こさないので、新たにファンタの雄を当て馬で入れてみる」と聞いていたので、ビバリウム内に雄が多数いることは繁殖に有利だと勘違いしていたのである。
 そこで、ずっと鳴き合戦をしている我が家のレウコはやる気いっぱいだぁ……と幸せ顔でいたのだが、それが間違いだったとvol.10で書いている訳なのだ。
 だからvol.10では「河村さんのファンタはさておき」と断わりを入れ、「河村ファンタ」と「トキタレウコ」の相関関係を絶っているのだが、それもみな間違った取られ方をしてしまいそうなわかりにくい表現だったのかも知れない。
 まぁ、とかく文章なんて物は独りよがりになりがちなので取り違えられたとしてもしょうがないと思ってはいるが、このページを読まれた方の中で「これは変なのでは?」と思われた方がいらしたら、メールしてくだされば有り難い。
 とりあえず今回はvol.10の方にも追加訂正しておくことにした。



これが最期の写真か……。

 最近、プミリオの姿が見えない。多分、10日近く姿を見ていない。死んでしまったのかも知れない。


 私は今、とても疲れている。そりゃ、誰だって疲れちゃいるだろうが、私が私なりの基準をもって考えるといつもよりかなり疲れている。
 そんな風に疲れているので、前に書いたかどうかあやふやだが、ここにオーラタスが繁殖行動を起こしている事を記しておく。
 90cmビバリウムでレウコ4匹、ガラ2匹と同居しているオーラタスが2匹で伴だってネオレゲリアの葉腋を物色し、1匹ずつ入っては出、入っては出を繰り返していたのだ。
 そこへまたしてもやる気マンマンのレウコ雄が邪魔しに入り、オーラタスのペアは散り散りになってしまった。

ベントリ。


ガラ&レウコ。


カメラを向けると一目散に逃げ出すレウコ。いすわるガラ……。

 今週末、あたらしいビバリウムをセットする予定である。そうしたら、レウコ、ベントリ、そしてオーラタス、全てのペアを今よりもマシな状況で飼育する事ができる。
 そして数カ月後、それらの子ガエル達が入り交じってキープされるその瞬間を、私は夢見て暮らしているのである。



9月27日(月)
 昨日、一昨日と有毒研究室ヤドクガエル室の大改装を行った。
 まず、部屋の奥にある収納の扉を取り外し、その回りを片付けてから、窓際に並んでいる蛇ケージをどけてスペースを作った。
 そこへ新しく買ってきたアングルを組んだのだが、これが本当に大変だった。その「作ったスペース」より大きなアングルを買ってきてしまったからだ。
 話は前後するが、今回なぜ改装しようかと奮起したのかから書かなければならないだろう。


 今年前半の惨澹たる状況、つまりベントリとレウコの繁殖失敗に、私はかなり自信を失っていた。
 そもそも私という人間はすぐ天狗になり、その天狗の状態が色々と一番上手くいく精神状態なのだが、それら全てが虚像だと気付いてしまうぐらい、内心ヘコんでいたのであった。
 しかし「これではいかん!」と思い直し、レウコの卵で色々悩んだ挙げ句、一つ「温度」という原因を突き止め、現在5匹(レウコ4匹、ベントリ1匹)のオタマ育成にまで漕ぎ着けた。
 これにより、私は自分の「思い直し」にさらに勢いをつけた。そして今回、「矢毒繁殖プロジェクト」(POPAF=Projects Of Poison-Arrow Frogs)を実行に移す事にしたのである。
 このプロジェクトは今までとは違い、もう少し確実に殖やすための方法をより実践的というか、熱意をもって、カエル任せにせずにとっていこうというものである。
 その先がけがケージの新調という訳だ。私は形からはいる人間なので、こういう気分転換が大事なのである。


 そうやって奮起してから、早くも20日以上が経っているが、やっと先日アングルを購入した。
 土曜日の休みを利用して大型DIY店であるジョイフルホンダ守谷店に行ったのだが、アングルのラインナップは期待していたより貧弱だった。しかし時間とお金のない私は、グレーというなんとも味気ない色だけは妥協する事にした。だって、予算2万円だったのに、そのアングルは8,000円だったから……。
 しかし、購入時に欲をかいて一つ大きなアングルを選んだ事が間違いだった。本当は横幅120cmのものを買おうと思っていたのだが、ケージサイズが横幅45cmなのもあって、150cmのアングルを買ってしまったのだ。
 間口150cm、奥行45cm、高さ180cm、これが今回購入したアングルのサイズである。その名も「力量」!! い、意味わからん……。


 さっそくアングルをセットしようとしたのだが、部屋の外で組んだら入口から入りそうもないので、飼育部屋の中で組む事にした。
 しかしここで、欲張ったのがアダとなった。アングルの幅があり過ぎて、室内でアングルを寝かせたまま組む事ができないのだ。まさに「立って半畳、寝て一畳」状態だ。
 しかたなく、衛生管理部長に手を貸してもらい、3時間かけてアングルを立てたまま組み上げた。飼育設備関係のアングルを組むのに、こんなに時間がかかったのは初めてである。
 それはまぁ、言い訳しておけば、高さの調節がけっこうシビアだったからなのに他ならない。180cmの中に高さが45cmあるケースを3段で置くとして、アングルの板の厚さやケースの上に蛍光灯を置くためのスペースなどを計算すると、ちょっと入りきらないのであった。それに気付くまでに時間がかかったという訳である。
 しかたなく、今回買ったケージは5つだったので、2段分は天地スペースに余裕を持たせてセットし、一番上の段を殺す事にした。今後ケージを増やす事になったら、この一番上の段に置く事にし、その際は少し高さのないケージをオーダーすればよいのだ。
 さて今度はそのアングルに先日からリビングを占領しているアダージョのケースを乗せる訳であるが、これがまたオールガラスで重たい上、何処をどう持ったらいいのか解らず難儀した。
 5つのケースをジャバジャバ風呂で洗い、キッチンペーパーでまわりをざっと拭いてからアングルに並べる。

この光景は光景でなかなかスパルタン。

 う〜ん、これだけで良い雰囲気じゃないか。


 今回は、POPAFの命題に従って繁殖を目的としたビバリウム作りを目ざした。
 レウコ、オーラのビバリウムには、産卵用シェルターに半手動型レインドロップシステムを組み込み、確実に産ませ、そして回収できるようにした。
 ベントリ以下、樹上棲種では、同じく半手動型レインドロップシステムで順調な産卵を促そうと目論んでいる。
 今回、ビバリウムの中にはネオレゲリア・レッドオブリオしか植えていない。今の所、他のブロメリアは繁殖には必要無い(しかし、よりタンクが大きいブロメリアをベントリは好んでいる)。
 樹上棲種はこれで充分に卵を産むし、地上棲種はブロメリアに産むのは本意でないように思う。現にオーラタスなどを見ていると、ブロメリアに雄が誘っている場合、雌の産卵場セレクトがかなりシビアであるように思う。
 従って、写真のようにシンプルなビバリウムが完成した。樹上種はこのあとブロメリアを多少追加するが、地上種はメンテナンスも考えるとこんなものであろう。

ざっと、こんなもんかな。

 今回の目玉はなんといっても半手動型レインドロップシステムで、これが上手くはまれば、私としてはかなり面白い。これの元ネタはフィッシュマガジンに載っていたカメレオンの水やり用にペットボトルを改造する方法だ。その方法を拡大・応用したという訳である。
 しかし、このチューブ、カエルが登りそうな気がしてならない。レウコなんかに登られた日には目もあてられないことになるだろう。そしたらその時また考えれば良いか……。


 そしてやっと全てのビバリウムをセットし終った。この、ビバリウムがズラッと並んでいる光景、なかなかにフェティッシュな興奮を憶えさせてくれる。
 これらの購入資金は全てカードローン(!)回収するまでは意地でもやめられない。


 ちょっと前の記録にアダージョプランニングのレプタケースの蓋に小型のヤドクガエルが逃げられるほどの隙間があると書いたが、それは大きな間違いであった。私がセットの際に隙間を作ってしまっていたのだ。もしこのケースを買おうと思っている人がいらしたら、隙間ができないようにきちんと蓋をされたい。
 ただ、前扉の隙間が危ういのは間違いない。



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