ヘビの飼育日誌 vol.04 [1999年2月10日]
左がストライプのにこたん、右がマウンテンキングのやまちゃん。
2月10日(水)
2月7日の日曜日、我が研究室にあらたな蛇が加わった。カリフォルニアキングスネークのデザートストライプと、マウンテンキング(多分L.p.pyromelana)である。
ちょっと話はそれるのだが、人はよく「衝動買い」という言葉を使って、買い物し過ぎの人を責めてみたり、あるいは自分自身を振り返ってみたりすることがあるが、そもそも買い物なんて、衝動が必要なんじゃないだろうか?
「欲しい!!」ってのは間違いなく衝動だろうし、欲しくないのなら買わない分けなのだから。……って、別に何が言いたいって分けではないのだが。
話を戻すと、まぁ、今回も実に衝動的な購入だったのである。
この2匹は近所の熱帯魚店である「カプアス」で購入したのだが、販売方法、値段、その他の感じから言ってピンキラから卸されているのだろうと思う。これは非常に嬉しい事実で、わざわざ横浜まで旅をしなくとも、ピンキラの蛇が地元で買えるのである。お店の方も自称ナミヘビマニアと言うだけあって、販売には意欲的である。先細りで消えてしまわないよう、我が研究室も長くおつき合いしたいと思う。
今回蛇の販売を始めた同店には、キング、ミルク、コーンなどのナミヘビと、数種類のツリーボアがおり、特にナミヘビはなかなかの充実ぶりだと思う。
旧水戸街道6号線から簡単に行けるので、興味のある方は行かれてみてはいかがかと思う。そこでアジアアロワナの魅力にはまってしまっても、私としては何もしてあげられないが……。
写真は脱皮前。
●ジゴロ(L.g.nigritus)
餌食いが戻ると、皮膚の艶が良くなるのだと、ジゴロの黒い顔が教えてくれた。やはりいい男である。
こいつはハチクラで購入した時から雄と分かっているから、今後の心配もあまりない。他の個体は雌雄が分からずどうにかして調べなくてはならないだろう。
噛まれキズ。
●しろてん(L.g.californiae)
大きくなった。やはり、8ヶ月飼い込むとこのデカさも嬉しいものである。
そしてこのあいだ、久々に噛まれてしまった。瞬間、「あ、噛みそうな顔してる……、噛むかな……」なんて思っていたら噛まれたのである。しかし痛かった!! 身体が大きくなっただけあって、しろてんの口も、私の指をぐるりと挟み込むまでの大きさになった。
噛まれても慌てず、顔に「フっ!!」と息を吹き掛けると嫌がって噛むのをやめてくれるので、お互い酷い怪我をしなくて済む。この方法が他の個体、蛇に通用するかどうかは知らないが、とりあえず有効だろうと思っている。
犯人……。
噛まれて実感したしろてんのパワーであるが、この前の給餌のときには参ったことが起こった。餌のファジーにしろてんが食いついた瞬間、噛む圧力に負けたのか、牙の鋭さに負けたのか、ファジーが「バっ!!」と裂けてしまったのである。……腹からまっぷたつに。
お陰でケージに敷いたキッチンペーパーは生魚をおろしたがごとく血みどろになり、その上を這いずるしろてんも当然血みどろに。
「かぁ〜べに飛び散る、いぃ〜き血の飛沫がぁ〜♪」って感じであった。
ジーベンが引き裂くのを見るのは慣れているのだが、見ている前で、モノトーンのしろてんが血みどろになっていくのを直視できなかった。
でもなぜ、ジーベンがファジーを引き裂く時にはファジーの血液がそれほど水槽内に流れ出ないのか、不思議である。
尻尾の先あたりまで途切れない綺麗なストライプ。
●にこたん(L.g.californiae)
新顔のデザートストライプ……で、なぜストライプを購入したのか??? もちろん、しろてんとかけ合わせて、この手でクレイジーをつくるのが目的である。とはいえ、しろてんもこのストライプも雄か雌か分からず、同性だったらそれまでなのだが。
まぁ、なんにしても可愛いし、途切れのないストライプが魅力的なので、購入に踏み切ったであるが、連れ帰って驚いたのはその小ささである。具体的に分かるよう、しろてんと並べて比較写真を撮りたいのだが、しろてんが食べてしまいそうで怖くてできないほど小さい。もちろん8ヶ月前のしろてんもこんなサイズだったのだろうが、あらためて比べると、ホントに大きく育ったんだなぁと実感させられる。
名前の方は、頭の上に白い点が二つあるところに起因しているが、「にこてん」ではあんまりなので、カワイクひねって「にこたん」にしてみたのである。
……かわいいでしょ?
相変わらずハンドリング不可のお嬢。
●お嬢(L.c.calligaster)
一時は好転しそうであったお嬢のハンドリングであるが、ここにきてまた振り出しに戻ってしまった感がある。ちょっとでも触れようものなら、ロケット発射!!ってな勢いで暴れだしてしまう。
今は、無理にハンドリングする必要があるような事態が起こっている分けではないので安穏と構えているのだが、有事においていきなりハンドリングが必要ってことになっても困らないよう、備えは必要だと思う。徐々にいければ一番良いのだが、これがなかなか手強い。
餌食いは非常に良好で、一回の給餌でファジーを3匹ずつ食べる。研究室内の他の蛇もそうなのだが、そろそろホッパーに変えてもいいかな?……という時期にかかってきた。
写真は脱皮後すぐ。綺麗だ……。
●ポンチョ(L.mexicana)
ポンチョは最近また非常に大人しい。もしかしたら脱皮の兆候かもしれないが、日々連綿と濃密に観察できている分けではないので一時的なものだろうと思う。
ポンチョもまた、確実には雄か雌か分からないので、いつか調べなくてはならないだろう。
それと、ケージサイズのアップもそろそろ考えなくてはならない。ポンチョとしろてん、そしてお嬢はかなり太さも出てきて、ケージの狭さが気になってきている。
やまちゃん。
食欲がまるでなく、ウロウロと落ち着きが無い。
●やまちゃん(L.p.pyromelana?)
マウンテンキングだから、やまちゃん。こんなお気楽な名前なのに、やまちゃんは拒食中である。ショップにいたころから拒食中だったらしいのだが、それは脱皮が原因だと思われ、購入に踏み切ったのであるが、我が研究室にきて2日目、依然として食べないので少々心配である。
1月22日の給餌が最後らしいのだが、この調子だと1ヶ月たってしまう。まだ小さい個体だけに体力があるうちに食べて欲しい。餌のSピンクに興味は示しているので、落ち着かせるのを先決とし、あとはうまいタイミングで給餌を行なえればうまくゆくと思うのだが、そこはそこ、野生を捨てていない彼らの恐怖は、しろてんで嫌と言うほど味わったので、今後ジワジワと思い知る羽目になるのかもしれない。
しかし、良く考えてみると、蛇の飼育技術、その密な情報はなかなか本などに載っていない。今回、やまちゃんの事を調べようと思ったのだが、手元の本はおろか、蛇の本なんて、手身近には全く存在しないのである。
洋書は多いのだが、日本語のナミヘビの本と言うのは見たことがない。先のカプアスのお兄ちゃんの話だと、彼と某パンク町田氏の共同執筆によるナミヘビの本が近日出るらしいのだが、こちらとしては明日にでも情報が欲しいのだ。……しかし、マウンテンキングの飼育法を詳しく述べている雑誌はなかった。
かろうじてビバガの3にクロミルクヘビの記事が出ていたので、一度それに習ってみようかと思っている。マウンテンキングは見た目がミルクに似ているから性質も似ているだろうと言う、一種オカルト信仰のような思う込によるものだが、多分間違いないだろう。……しかし確信を持てる根拠はない。
マウンテンキングと言うぐらいだから、山にいるのだ、山には森があるかもしれない、ホラ、ビバガのミルクの記事にそう書いてあるじゃないか……と、悪魔が囁くのである。私は悪魔教信者であるからしょうがない。それに、このままではどうしようもないのだから。
といって、何を試すのかと言うと、飼育温度を多少下げること、湿度をあげること、それに準じてケージ内にミズゴケタッパーを設置すること、シェルターを決してあばかず、餌はシェルターの入り口におきっぱなしにて与えること、そしてなによりそっとしておくことである。
とりあえず2月13日から上記の方法で飼育してみることにした。次の飼育日誌に訃報を記することのないよう、私自身祈りたい気分である。
手乗りカバヴー。なんだかおいしそう。
●カバヴー(H.nasicus.nasicus)
カバヴーも最近は食欲が戻ってきて、順調に食べている。
しかし、脱皮はしない。ナミヘビに比べてやはり代謝が遅いのだろう。同じ量を食べ、同じように糞をしているのに脱皮が遅いのは何故なのだろう???……謎である。
相変わらず愛嬌のある顔は魅力的で、ついついハンドリングしてしまう。
もう、カワイイなぁ、カバヴー。
威嚇は激しいが、一度持ってしまうと大人しい。シシバナの特徴か?
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