ヘビの飼育日誌 vol.19 [1999年3月24日〜4月25日]


3月24日(金)
 ここしばらく、まったくテキストを打ち込む時間がとれなかった。
 そのあいだに蛇達の状況がいろいろ変化した。
 まずカプチーを冬眠させ、そしてそのあと冬眠組をまとめて冬眠からさめさせた。これが3月の11日ぐらいだったと思う。
 その3日、4日後からエサを与えはじめ、現在、カバヴー以外の全員がエサを食べている。
 最初、ポンチョとカプチーもエサをとらなかったが、保温を確実にしたら食べるようになった。お嬢としろてんは最初から問題なく食べ、ジゴロも同様だった。
 今後は、週に1度たっぷりと食べさせ、雌が脱皮するのを待ってブリーディング開始である。はたして我が研究室最初の子はきちんと生まれるのだろうか?


 小さい連中もそれなりに育ってきて、今や世話にてんやわんやである。冬眠組が起きたので、一度に溶かすマウスは大小あわせて50匹とか60匹になっている。1匹を1分でやったとしても単純に60分かかる。どおりで、蛇にエサをやりだすと3時間もかかるわけだ……。
 この研究室と銘打った温室で3時間も立ち仕事をしていると、額からは汗が流れ落ち、頭はくらくら、意識がハイになってくる。ランナーズ・ハイならぬキーパーズ・ハイである。
 話がそれたが、やっと大きくなってきたチビ連中も、来年はブリーディングの予定だ。今年の10月まであと半年、この6ヶ月が勝負である。



3月27日(火)
 大きな連中のエサ食いは完全に復活した。あれ程長い間エサに興味を示さなかったポンチョが食ってくれて安心した。今回食べはじめたと言うことはやはり去年の秋ぐらいから食べなかったのは勝手に冬眠状態に入っていったと言うことであろう。
「まったく、心配させやがって。」という感じである。
 すでにジゴロとお嬢が脱皮準備に入っており、今後、順次脱いでいくであろう。お嬢が脱いだらとりあえずポンチョとかかるか試す予定だ。
 今年の目標であるカリキンの繁殖も、計画着手目前で、私自身はかなり緊張している。しろてんの状態も、カプチーの状態も心配だし、いざ交尾!という段になってもキングスネークであるから相手を食べそうになりやしないか不安でもある。しかし、それらすべての思いも、実は大きな愉しみの中にある。
 あと少し、あと少しでそれを体験できるのだ。


 最近ちょっと思ったのが、このページにおいて蛇を固有名詞で表記すると、お客さんには何がなんだか解らないのではないだろうか?ということである。
 こちらは毎日のように彼等の世話をし、「カプチー、てめぇ、水入れに糞すんなよ」とか喋っているので当然分かっているのだが、このページを見にきてくれているお客さん方がそれを記憶するのは容易でないと思ったのである。
 以前は、時間もあったので1匹ずつの写真を組み込み、タイトルとして学名と固有名詞を並記していたのだが、今はその時間がない。どうすればいいか、現在検討中である。


 しかし、いやさすがにカリキンである。現在、我が家のカリキン率はかなり高いのだが、ヌエボレンやマウンテンに比べて食が太く、その神経の図太さには絶対の安心感がある。この調子なら計画も順調に進むことだろう。
 最近話題にのぼらないシシバナのカバヴーも冬眠あけで調子が戻り、エサをとるようになった。どうやら冬眠中に水を一度きらしてしまったので、脱水症状を起こしていたらしく、水を新しいものに変えると良く飲んでいるのが観察できた。
 十分な水分補給をしたあとにはエサ食いが回復し、先週末にはホッパーマウスを3匹食べてくれた。
 これにより、冬眠組の蛇達はみなエサを食べたことになる。




交尾を行ったケージはこんなサイズ。

4月13日(木)
 一昨日の夜、しろてん(L.g.californiae:メス)とカプチー(L.g.californiae:オス)の交尾を行った。
 カプチーは冬眠あけすぐに脱皮をしており、しろてんの脱皮をまっての交尾だった。そのしろてんが4月の6日に脱皮をしたので、今回交尾をさせたわけである。
 関根さんに「交尾をさせるのにどれぐらいのケージが必要か?」と質問をしたところ、「1m前後の蛇で、最低でも80cm×45cmは必要」と言われた。私自身も「ヘビの本」を読んで、90cm水槽ぐらいを考えていたので、それならばと90cm水槽を使用するつもりであった。
 しかし、別の部屋においてある90cm水槽の汚れっぷりを見て、嫌気がさしてしまい、実際に使ったのはボールパイソン用に買ってあった45cm×36cm×36cmの衣装ケースであった。これで試してダメだったら90cm水槽を洗って使おうと考えたのだ。


 まず最初に、水入れに入っていたカプチー(オス)をウッドシェイブをひいた衣装ケースに水入れごと入れ、そこへしろてん(メス)をそっと放した。
 これも少し前に関根さんに聞いていたのだが、本当はオスを入れてから1日ぐらい置いてケージに慣れさせた方が良い(成功する確率があがる)のだそうだ。でもその話の際に「まぁ、慣れてる人はいっぺんに一緒に入れちゃうけど」という言葉も聞いたので、ケージともども「ダメだったらダメでまたやればいい……」と私は思っていたのである。当日は平日の夜だし、休みの日に再挑戦すればいいだろうと……。


 しかし、実際にヘビを会わせてみると驚いたことにこれがなかなかに良い感じであった。
 最初はしろてんが嫌がっていてダメかも知れないと思ったが、カプチーのアプローチが素晴らしく、やがてその気になっていくようだった。
 私はケージを上から覗いていて2匹の様子を見るにつれ、山の手線と京浜東北線を連想してしまった。まるで2つの列車が並走するように2匹は並んでケージの中をぐるぐる回ったのである。
 時にはなれ、時にすれ違う様もまるで電車のようであった。
 しろてんがその気になってきたのを見計らったようにカプチーが身体を巻き付け、しろてんの首あたりに噛み付いた。餌をとる時とは違う感じの噛み付き方だった。
 カプチーが噛み付くとしろてんは動きを止め、さらにカプチーがキツく巻き付いた。そうやってしろてんの腰を固定しながら、カプチーが強く自分の腰を押し付けている。やがてねらいを定めたようにカプチーが一段と鋭く腰を突くと挿入が始まったようだった。これらの行動を見ていてヘビに腰があること知り、自分でも驚いた。
 私はその後、「ジッ……」と動かなくなる2匹を見て「ほっ!」と一息ため息をついた。これで交尾は完了した……と。
 しかし、しかし実際はそうじゃなかった。ここから交尾が始まったのだ。最初は気をつめて見ていた私も、15分もすると飽きてきた。「いつまでやってんだ!」と。しかし、その後もカプチーは時折強くしろてんを締め付けたり、挿入部に力を込めたりする様子が見られた。
 やがて1時間が過ぎ、今度は不安になってきた。カプチーがなにか失敗して、生殖器が抜けなくなってしまったのではないか? と。
 あんまり心配だったので人為的に2匹を引き離してしまおうかと思ったが、それをする前に関根さんに電話で聞いてみようと思い立った。
 衛生管理部長に見ていてくれと頼んで、急いで関根さんに電話をする。そして「ヘビの交尾をさせたのだが、もう1時間もやりっぱなしで離れない。どうしたらよいか?」と質問をした。そしたらなんとヘビの交尾では1時間、2時間なんてざらで、1時間半で離れりゃ早い方、下手すると半日も離れないやつがいる……とのこと。
 驚きの新事実!
 しかもキングだから目をはなすわけには行かない。もし共食ってしまったら……と考えたら、ほっておくわけには行かないのだった。しかも私が用意した衣装ケースは、まだ穴をあけたりとか蓋への加工とかそういった改造がしていないので、密閉しての使用に耐える状態ではないのだ。つまり、2匹がくっついていようが離れようがどこかに行ってしまわないように見張っていなければならないのだ。
「しかたがない」私は覚悟を決めた。
 関根さんにお礼を言って電話を切り、部長の所に戻ってそのことを告げ、見張りを続けた。
 その後も、飯を食いながら時々覗き、TVを見ながら時々覗き、8時、9時、10時、11時、12時……12時50分から始まる教育TVの「恐竜家族」を見終わる頃、様子を見に行くとしろてんがケージの外に逃げ出していた。やっと終わったのだ。時刻はなんと1時過ぎ……。延々5時間にもわたる交尾であった。
 様子を見ていくうちに私はヘビの交尾に人間の姿をみてしまった。
 最初は情熱的に燃え上がり、やがて落ち着き、お互いを認めあう。しかしそのうち反発しあい、落ち着きを失う。そしてさらに互いを解りあおうとする。
 そんな様子が5時間のあいだにみとめられた。


 翌日の夜、今度はお嬢(L.c.calligaster:メス)とポンチョ(L.mexicana:オス)の交尾を行おうと、2匹を昨日と同じ方法で同じケージに入れた。
 メスのお嬢はやる気だったものの、オスのポンチョにやる気がなく、交尾にはいたらなかった。多分、ポンチョの冷やし方がたりなかったのだろう。来年の冬眠はもっと下げなくてはならないと実感した。




4月19日(水)
 ヘビのMLで聞いたところ、交尾期間中のメスには多めに餌を与えた方が良いらしい。私は単純に週1とか思っていたので、これには驚いた。今後は、しろてんに多めの給餌を施そうと思う。
 2回目の交尾を昨日させたのだが、今回はしろてんが途中でケージから出てしまい、無理矢理交尾が終わってしまった。しかし、2回もさせれば十分であろうから、3回目は考えていない。来週にはお嬢(L.c.calligaster:メス)とカプチー(L.g.californiae:オス)を交尾させてみようと思っている。お嬢はポンチョ(L.mexicana:オス)にフラれた後、ジゴロ(L.g.nigritus:オス)にもフラれたので、メスとしてのプライドはズタズタだろう。
 カプチーが発情している以上これでお嬢と交尾しなければ、お嬢に問題があるかもしくは異種間のブリーディングは難しいと言うことになる。関根さんからは「僕個人としては、やめた方がいいと思う」とアドバイスをいただいた。しかし、私はちょっとやってみたいので、2匹を引き合わせてみて交尾するようならさせてみようと思う。



4月25日(火)
 お嬢(L.c.calligaster:メス)とカプチー(L.g.californiae:オス)の交尾はまだ行っていない。週末はヤドクケージの大移動だけで疲れ果ててしまってそれ以上やる気が起きなかった。そのうえ、遠くのショップに出かけたりして時間が無くなってしまったのだ。
 ヘビ達はさらに暖かくなったのでなんだかそわそわしており、餌やりもちょっとサボっているので本当に落ち着きがない。ここにきて小さい連中の脱皮が続いている。しかし、こいつらの成長を見るにつれ、来年のブリーディングは無理だろうと思えてきた。もうすでに5月前のこの時季、とてもじゃないが、こいつらが2年目のしろてんと同サイズだとは思えない。こいつらが来年使えるくらいなら、今年はポチ子(L.g.californiae:メス)を使えなければおかしい話になる。
 まぁ、それらもみな話だけだから、もう5ヶ月もすれば実際にはっきりするだろう。
 それとさらに、これを読んでいるみなさんにはあまり関係がないかも知れないが、コーンスネークのジャックをスレインに改名した。もともとジャックとはブラックアルビノであるところからブラックジャックを連想して付けたのだったが、どうにもジャックだけだとF1のジャックビルヌーブを連想してしまう。そのうち体色がそれほどブラックと言う感じでも無くなりなんだか不透明な感じになってきたので、スレインという名前にした。……って、これをどっかに書いたような気がするのだが、忘れてしまったのでここに記しておくことにした。


 2度の交尾を済ませたしろてん(L.g.californiae:メス)は今のところ健康そのもので、餌食いも良好である。ヘビのMLで杉山さんに聞いた通り、餌の量を増やした。今は1回にホッパーを3匹程度、それを2週に3回程与えている。
 そうやってしろてんの餌を増やして気が付いたのは、逆に「アダルトサイズの連中に毎週餌をやることはないのではないか?」ということだった。今まで闇雲に「週1回」と思っていたが、そのペースでは全然食べないで、いつもマウスがあまってしまっていた。だから今後はアダルトサイズの連中には3週に1度程度の給餌を施してみようと思う。


「スレイン」に改名したものの、その名もいまひとつピンとこない。


あまり食べないピーチ。


ヌエボレオンは食が細いのか? しかし、ポンチョはそうでも無かったような……。


アルビノストライプのブイヨン。


誰だろう、たま子かな?


外の様子をうかがう雪之丞。


威嚇するカプチー。


食が細く、イマイチ育ってこないにこたん。


今になって私の見立ては間違い無かったと納得させてくれるマリオ。



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