● 蜘蛛の毒 ●

 みなさんは「蜘蛛」ときいたら「猛毒をもつ怖い蜘蛛」を想像しますか?それとも、「蜘蛛の毒なんて大したことない。オッケーオッケー、カモンカモン!!」って不敵な笑みを浮かべますか?
 実際、どちらも正しいリアクションといえます。
 蜘蛛は、日本で一般的に見られる種類から、南米や東南アジアなどに住み、想像を絶するような大きさに育つ種類のものまで、みな一様に毒をもっています。
 ですが、その場合、身体の大きな一般的にタランチュラと呼ばれる毒グモよりも、身体の小さなゴケグモなどの方が猛毒をもっていて、より危険だといわれています。
 そもそも蜘蛛の毒というのは、獲物の神経を麻痺させるほかに獲物を溶かして飲むための消化液でもあるのです。ということはつまり、全ての蜘蛛が消化のための毒を持っているということになります。
 蛙の項でもそうでしたが、より小さな種類の方が危険を回避するため強力な毒を持っているようです。
 小さな蛙は身を守るために強力な毒を持ち、小さな蜘蛛は獲物に負けることなく、かつ獲物を捕らえ消化吸収するために毒を持っているのです。なにも、おまけやかっこつけで毒を持っているわけではなく、彼らは必要にかられ特殊な技能の一つとしてその猛毒を身につけたわけです。
 その毒が、人間に向けられた場合、人は蜘蛛を「有毒・有害」と判断するわけですが……さて、みなさんは、「蜘蛛」ときいたら、猛毒をもつ怖い蜘蛛を想像しますか? それとも、蜘蛛の毒なんて大したことない……って不敵な笑みを浮かべますか?


● 蜘蛛毒の3強 ●

1:クロドクシボグモ(Phoneutria nigriventer)
2:シドニージョウゴグモ(Atrax robustus)
3:クロゴケグモ(Latrodectus mactans)

■クロドクシボグモ(Phoneutria nigriventer)
 世界で最も猛毒といわれるこの蜘蛛は、体長8cmもあり、身体の大きさにしたがって、毒腺も大きく、そのうえ牙も驚くほど長くて、13mm近くもあるそうです。
 マウスを使った実験では、この蜘蛛の毒0.01mgで体重20gのマウスが殺せるそうです。人間への効果のほどは当然実験できませんから推測になりますが、0.1mg以下の毒で充分致死量に達するようです。1匹がもつ毒の量は最大で約8mgあるといいますから、単純に1匹の蜘蛛のもつ毒で、80人の大人を殺せてしまう計算になります。
 しかし、この蜘蛛が棲む南米には血清が有り、死者はほとんどないそうです。同じく南米には毒グモが多いですが被害は少ないといわれています。

■シドニージョウゴグモ(Atrax robustus)
 この蜘蛛はオーストラリアに棲む体長2cm程の蜘蛛で、その毒性の強さから研究も進んでいます。毒は強い酸性で、噛まれると強烈な痛みが有り、毒に含まれている酵素の1種が細胞の間の組織を破壊して、毒の侵入を早めるといいます。

■クロゴケグモ(Latrodectus mactans)
 ブラックウィドーと呼ばれるこの蜘蛛は、中・南米に棲む体長1cm程の黒い蜘蛛で、強力な神経毒を持っています。身体の大きさから言うと蜘蛛の中で最強の毒を持つことになります。
 その毒はマウス(体重20g)を0.1mgで殺せるほどの毒です。
 この蜘蛛の被害は意外と多く、1959年から1973年までの間に1700例以上の事故が発生しており、そのうち55人が死亡したそうです。事故原因の一つにこの蜘蛛の小ささがあるようで、服の中や靴の中に潜んでいるのを知らずに、着たり履いたりしようとした時に噛まれるのだそうです。

●クロゴケグモの実際:ブラックウィドウの飼い方●
 今回、小原明英さんから、クロゴケグモを実際に飼育なさった時のお話しをきかせて頂きました。クロゴケグモの飼育下での姿を知りたい方は、ぜひこちらをご覧になってください。

「ブラックウィドウの飼い方」

■日本に棲む有毒の蜘蛛
 日本にもわずかながら、人間にとって危険と知っておかなければならない毒グモがいます。その中で、もっとも有毒であるとされるのが、カバキコマチグモ(Chiracanthium japonicum)です。
 体長1cm程のこの蜘蛛は、驚くほど目立つ大きくてするどい牙を持っています。指などを噛まれると肘まで腫れることもあり、噛まれた箇所に水泡や潰瘍ができることもあると言います。
 上記3種の毒蜘蛛の毒に比べれば、とても微弱な毒です。
 とはいえ、身近にそんな毒を持った蜘蛛がいることには驚かされますね。
 ススキの葉に巣を作って棲んでいるので、ススキの原などを歩く時には気をつけた方がいいようです。



■毒による一般的な症状
死亡例のある猛毒の場合:吐き気、嘔吐、生唾や涙が流れる。筋肉の麻痺、腹部の激痛、心拍の異常が起こり、血圧の低下、呼吸不全から昏睡、そして死亡する。

軽い症状をひき起こす毒の場合:噛まれた部位の腫れ・激痛、部分的な麻痺。ひどい場合には吐き気など。



■クモ毒を科学する:どうしてヒトに効く毒をクモは持つようになったか?
 今回、蜘蛛と名のつくもの全てに精通されている、みるかし姫さんから、タランチュラと、ゴケグモ類の毒について詳しいお話をしていただきました。ぜひこちらをご覧んになって、より深く蜘蛛の毒をご理解ください。

「どうしてヒトに効く毒をクモは持つようになったか?」

 これらの蜘蛛の毒に関しては、まだまだ研究が進められているそうです。節足動物の中ではハチ毒などの方が研究が進んでおり、蜘蛛毒は、まだまだ未知の部分が多いようです。
 ここに公開した情報はその解きあかされた部分の、さらにほんの少しですので、無論これが全てではありません。今後もなにか解ったら随時更新、改定していくつもりです。
 その他、このページの情報について、ご指摘や新たな情報などいただけると大変有り難いです。


● 参考・引用図書 ●

猛毒動物の百科/今泉忠明 著/データハウス
生物毒の世界/日本化学会 編/大日本図書
図解 猛毒動物マニュアル/今泉忠明 監修/同文書院


● Special Thanks!! ●

「クモ毒を科学する:どうしてヒトに効く毒をクモは持つようになったか?」のページを寄稿してくださった、みるかし姫さん。
「ブラックウィドウの飼い方」のページを寄稿してくださった、小原明英さん。
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