タランチュラの飼育日誌 vol.09 [1999年11月29日〜12月24日]





どうやらオスらしいリサ。

11月29日(月)
 昨日の朝、リサが脱いでいるのを発見した。
 そろそろ脱皮かなと思い、ここ数日のうち何回か多めに霧吹きしたのがきいたのだろうか。
 しかし、脱いでみて解ったのは「雄じゃないの?!」ということであった。前回の脱皮の時も「腹部は赤銅色に」なんて書いているが、脚が青黒くて細長く、腹部が赤い毛なんてまさにオスの特徴だ。
 まぁ、オスならオスで、どっかから雌を探せば良いだけだからそれはそれで良いのだけれど。


 この前、鶏冠さんが我が家のしまちゃんを見た時に「ケージがデカ過ぎて落ち着かないんじゃ無いの?」とアドバイスをくれた。
 私は、ただ単に大きいケージと思い、それを実行していたのだが、言われてみれば確かにデカい。いや、そりゃそうだ、デカけりゃイイと思ってデカくしてたんだから。
 と言う事で、昨日の夜、しまちゃんのケージをひとつ小さなプラケにし、巣をきちんと張れるように大きなシェルターをセットした。これでなんとか調子良くなってくれるといいのだけれど。
 ルークのヤツは脱皮が近いのか動きが少なくなってきた。そろそろ身体も大きくなってきたので大き目の水入れを設置した。



12月22日(水)
 ちょっと前に記録を付けたと思っていたら、もう1ヶ月近くが経っていた。もうすぐ1999年も終わりだ。
 去年の今頃はやっと引っ越しが終って、それでもまだテンヤワンヤ状態だった。思えば、今年の冬よりずっと暖かったように感じる。が、しかしそれは私の気が「引っ越し」の為に張っていたからだろう。


プラケの手前側が白いのはすべて巣である。プラケは新品。

 約一月前にケージを替えたしまちゃんの調子が俄然良くなってきた。今までのケージより少し小さなケージにし、大き目のシェルターが功をそうしたと言う訳である。
 しまちゃんは、ケージの壁に立て掛けられたシェルターの内側に巣を張りめぐらせ、出口を一箇所残して全ての隙間を目貼りしてしまった。


シャイなその性格を考慮して、シェルターは大き目に。

 相変わらず、タランチュラの勤勉さには畏れ入る……。
 ピンセットからコオロギを捕ることはあまりないが、週一で5匹ぐらいばらまいておくと、大抵は入れた晩に食べてしまう。お陰で随分とお腹もぷっくりしてきた。
 新しくケージをセットした時には「これでうまく行かなかったら、どうすりゃいいんだよ?」って思っていたが、まったくの憂慮であった。


つついても動きがスローだったので、脱皮が近いようだ。

 ここ最近は仕事が忙しく、しまちゃんをゆっくり撮影する時間がとれないが、近い内に写真を撮る予定なので、このページをアップする時には大きくなったしまちゃんの姿を公開できると思う。




うちのデジカメ、赤く写り過ぎ……。

 アンティルのルークは随分大きくなってきた。今さらながら、我が家に来たばかりのころの事を振り返ると、目の前にいるルークの逞しさに感慨深いものがある。
 そう、この手のツリースパイダーは「逞しく」なるのである。むろん、バードイーターやアースタイガーでもそれは感じるのかも知れないけれど、極小の幼体時から育てた個体が少ない私としては、インディアンなどにくらべてこのアンティルツリーの逞しくなりぶりは、顕著だと感じてしまう。
 何故そう感じるのかと言うと、それはもちろん「毛」が「モサモサ」してくるからである。今さらながら、ルークなんて名付けて失敗だったと感じないでも無い。育ってきたルークを見るにつけ「これじゃぁ、ライデンか、へたすりゃゼノンだよ」って感じなのである。
 まぁもちろん、名前なんかはどうでも良くて、私としてはこの「モサモサ」感が素敵なのであるが、衛生管理部長の口からでた言葉は「いつの間に……(絶句)」であった。とくに、幼体時のブルーがお気に入りだったようで、「前のが良かった、前のが良かった……」とボヤくこと頻りである。


巣に落ちたコオロギを追うアンティル。

 最近はMLコを2匹いっぺんに食べられるようになり、時にはピンクマウスも完食するようになってきた。ついこのあいだ脱皮したばかりなので、今は一番食べる時季だろうと思う。この期間に一生懸命詰め込んでもらい、次の脱皮では「バーン」と大きくなって欲しいものである。
 不調続きだったインディアンのしまちゃんが、鶏冠さんのインディアンに負けた今、我が家のホープはこのルークなのだから。


まぁ、かなりイイ感じではないか?



 オス疑惑が濃厚だったMブロンドのリサであるが、ひとまず判定は据置きとなった。あれから色々と体つきの変化もあったし、体色も多少変化した。
 このあいだ行われたタランチュラオフ会(みるかし姫さん曰く:タランチュラ暴粘会)では、とにかく「みんなでMブロンドをどんどん大きく育てよう!」と、みるかし&鶏冠の号令のもと決起が促されたりもした。


うちで自然繁殖している蜘蛛。

 私と言う人間はそもそもとても感化されやすい人間なのでオフ会に参加しただけで、充分「ヤル気」が充填されたのだが、これによりますますそれに拍車がかかることとなった。
 しかしその後のリサはコオロギは問題無く食べるものの、マウスには興味を示さなくなってしまった。なにかの気紛れだったのか、はたまたあの時はよほど腹が減っていたのか……??? ともかくルークと同じくコオロギへの反応は良好なので、今のこの時季にガンガン喰わせていると言う訳である。
 ここ1週間のあいだ、1日置きにルークはMLコを2匹ずつ、リサはMLコを1匹ずつ食べている。2匹ともお腹の膨れ具合が良い感じになってきた。
 次の脱皮が楽しみである。




約1ヶ月前の写真。

 ウサンバラのうーさんは、あいかわらず巣の中に潜ってでてこない。時々巣をあばいて様子を見てみるのだが、とりあえず元気そうで、1週間に一度コオロギを入れるとなんとなくコオロギが姿を消していくので、食べているのだと思う。
 根本的に何かが間違っている気がする。ちょうど明日、鶏冠さんが我が家へ来るので、その時に飼育法を相談しようと思っている。



12月24日(金)
 ここ何日かで、我が研究室のタランチュラ事情は色々と変化があった。まず、私自身の意気がある程度上がっていたことが要因としてあるのだが、東京のグリフォン2からプライスリストが送られてきており、そのリストの中に意中の相手が居たので、気分的によりいっそう盛り上がってしまったのだ。
 私は、P.regalisのしまちゃんをほぼ雌だと思っているので、なんとか自分で雄を手に入れたいと思っていた。それで今回のリストに興奮し、購入を考えた。何故今この個体なのかと言えば、レガリスの幼体はあまり見かけないし、このあいだのオフ会で「インブリードの悪影響」を聞いていたことも有り、もし新たに買う個体が雌だったとしてもそのあと成体の雄を探せばいい訳だから、それなら別血統の雌個体でもいいかと思ったからなのである。
 そんなところへ舞い込んだこのプライスリスト。そこには「P.regalis S 1cm」とあった。「これはグッドタイミング!」と思い、価格もそこそこということがあって、購入することを決め、さらに同リストには憧れだったグリーンボトルブルーの名も有ったので、こちらも購入しようかとダブル購入を企てたと言う訳だった。
 それが22日の朝の事であり、夕方までの間にグリフォン2に電話をして在庫を確認した。
 そのあとすぐに、23日の予定の事で鶏冠さんに電話をし、その日の予定を立てた。必要な話が終った後に私がグリフォンの話をすると「そのリストの中にナンタラカンタラというタランチュラは載っていないか?」と言うことになった。最初、学名を言われた私はそれを見つけることができなかったのだが、コモンネームを聞いた途端に、リストの中に載っているその名を見つけた。私が学名を確認すると、電話の向こうから鶏冠さんの歓びの声がひときわ大きくかえってきた。
 そのタランチュラとは鶏冠さんの来年の目標であった「フェザーレッグバブーン」だったのだ。
 そしてともかくも、私は3匹のタランチュラを買うべく、東京東中野のグリフォン2へ向かって、仕事が山ほどのこっている会社を後にした。


 グリフォン2に行く前に、我が家へ電話をし、衛生管理部長と中野で待ち合わせをすることにした。最近、体調を崩している部長は私のタランチュラ購買意欲に気おされ、今度ばかりは反対する元気も無かったようだ。私としては弱味に付け込む形となり、少々後味が悪く無いことも無い。
 そして部長の車を中野で待ち、合流してからグリフォン2へ。
 店内には数人の馴染み客みたいな人たちがおり、レジ前で話がはずんでいた。彼らはゾロゾロと入ってきた私たちを一瞥して「はん、ブームに乗せられたカップル客か……。ひやかしならとっとと帰んな!」という感じであった。私たちはともかくそれを無視して店内をぐるりと一周し、最後にお目当てのタランチュラに辿り着いた。
 見ればSサイズのレガリスとフェザーレッグバブーンは各1匹、グリーンボトルは3匹いるだけだった。
 私はまずレガリスをさっくりとチェックしてキープし、次にフェザーレッグの試験管をよくよく覗いてみた。こいつは頼まれものだから「私が今できる限りのチェックくらいはしなくては……」と思ったのである。
 しかし、見えない。まるで姿が見えない。試験管の壁面いっぱいに糸が張られ、それに床材の砂がなすりつけられているので、中が見えないのである。それでもそのあとずっと見ていると、底の方で蠢く小さな姿を確認できた。とりあえず生きていることが分かり、これ以上の確認は無理だと思いそのままこれもキープした。
 次にグリーンボトルである。これらは3匹居たのだが、どれを見てもあまり違いが見えなかったので、試験管内に少し前に脱いだ脱皮殻が残っている個体にした。特に理由は無いのだが、こいつの試験管が一番綺麗だったのだ。
 とまぁこんな感じで、私は久しぶりにタランチュラを購入して、家路についたと言う訳である。
 今回の購入に際して、鶏冠さんの欲しがっているタランチュラがいて、それがうまく連絡がつき一緒に買うことができて、ほんとにタイミングが良かった。こういう小さな歯車の順調な回転が、偶然の重なり合いによってグルグル良い感じの音で回転してるような状態というのは、精神的に凄く気分が良かった。


 次の日は、衛生管理部長と鶏冠さんをともなって、筑波の関根さん宅へ伺うことになっていた。目的は関根さんがブリーディングしたコーンスネークを譲っていただくためである。


新しく購入したP.regalisの幼体。

 私は朝から新しく我が研究室に来たレガリスの入れ換え作業を行った。お店で入っていた大き目の試験管内の床材にカビが生えていたから、ともかくも移動を急いだと言う訳である。
 その後、車で我が家を出発し、鶏冠さんと合流し、朝飯のハンバーガーをパクつきながら、聖飢魔-IIの最新最終CDを聴きながら、一路、筑波を目指した。


 関根さん宅へ到着し、色々雑談などを交わした後、関根さん所有の正体不明のアビキュラリアを鶏冠さんが見てみることになった。
 そして引っ張り出されてきたタランチュラ、これが、いくら見てみても正体不明なのである。これには鶏冠さんも首を捻っていた。できればもって帰ってじっくり調べてみたいとも思っていたようだが、脱皮殻をもらうことで一時、事態は終息した。……ように見えたのだが。
 その後、いつもの関根さん宅参りを行い、魚、亀、トカゲ、ヤモリ、蛙、蟲、鳥、ネズミ、蛇、モモンガなどを見せてもらって、時を忘れて楽しんだ。いやぁ、ホントに楽しぃんだ関根さんちは。
 そして最後になって目的であったコーンスネークを選び、私は最初に目を付けたソメワケササクレヤモリとともにブラックアルビノコーンをお手ごろ価格で譲っていただいた。
 さらに、さらに最後の最後になって例のタランチュラの事が再び持ち上がってきた。それはそう、関根さんの奥さん(タラ嫌い)の期待が最高潮に膨らんだ瞬間だった。
 そして関根さんと鶏冠さんの間で交渉が行われ、案外あっさりと話がまとまって、最終的に正体不明のタランチュラは鶏冠さんのものとなった。
 鶏冠さんはゴーストコーンも手に入れ、掘り出し物の蟲も手に入れ、正体不明のタランチュラも手に入れ、まさにホクホクだったようだ。今回は、もともとが鶏冠さんがコーンを飼いたいというところから話が始まったので、私としては主役の鶏冠さんが喜んでくれればそれで大成功なのでサイコーの一日であった。
 それにしてもさすがと言うべきは関根家の底力である。ともかく並み居るマニアのニーズに答えるだけの底力を今回、深く感じてしまった。


 そのあとNUANCEさんのファームへ伺って、ベルツノのオタマを見せてもらったり、アカメアマのペアや、エダハヤモリのペアなどを見せてもらい、いつものように盛り上がった。
 最近御結婚なされたNUANCEさんのお祝を兼ねての訪問だったのだが、始終生き物の話ばかりで、「やはりこういう連中が集ってしまったら最後、こうなるのがいわば幸せな図というものか……」などと私は思ってしまった。


 NUANCEさんのファームをあとにして、次はフェザーレッグバブーンの待つ我が家へと急いだ。
 筑波から1時間半、道中「今日の素晴らしい体験」を声高に喋りあいながら、やっと我が家へと辿り着いた。時刻はすでに午後8時を過ぎている。
 我が研究室に入ってまず、昨日グリフォンで買ってきたフェザーレッグを鶏冠さんに手渡す。「来年の目標であったこいつがこんなに早くてに入ってしまうとは……」と喜ぶ鶏冠さんに、息つく暇も無いまま私の自慢のタランチュラを見てもらった。
 まず飼育法を改善したP.レガリスのしまちゃん。ずいぶん太ったということで、これはまずまずの及第点を頂いた。次にM.ブロンドのリサ。前回見てもらってからまた一度脱いでいるリサを見て、鶏冠さんは「雄」だと判定。しかも成長させ過ぎ。このままでは鶏冠さんの雌と大きさが揃わないのでヤバい、ということになり、我が家のリサは次の脱皮後、成長をセーブして飼育することとなった。しかし「成長させ過ぎ」と聞いて、私は「ニヤリ」としていた。それなぜかと言えば、リサよりもアンティルのルークの方がずっと育っているからだ。
 ケージをあけてルークを見せると鶏冠さんはほぼ満点の反応をしてくれた。そのデカさに驚いている。私は心底嬉しくなってルークの食いが、今、いかに好調かを主張し、その歓びに身を任せた。
 最後にウサンバラのうーさんを見てもらった。あまり調子の良く無いうーさんを見て「こいつは小さいね」と一言。そう、鶏冠さんの言う通り、こいつは確かに小さい。しかし食べないのだからしょうがない。
 その後新入りのレガリスとグリーンボトルを見せびらかし、最後の最後に関根さんちから来た正体不明のタランチュラを「タランチュラの世界」と見合わせて調べることになった。
 鶏冠さんは帰りの道中で大体見当を付けていた様子で、私に「ホワイトウーリー」のページを開くように命じた。
 そのページに写っていたのは、確かに目の前にいるタランチュラに似ていると言えば似ている。しかしそれだけで鶏冠さんには充分だったようで、彼はそのタランチュラを「ホワイトウーリー」だとほぼ確信したようだった。
 その事実の重さを、知識の少ない私は実感できないのだが、彼はこの掘り出し物に大変喜び、そして興奮していた。


 とにかく23日一日で目紛しくいろんなことが起こり、それはまるで夢の中のできごとのようでもあった。


C.cyaneopubescensの幼体。幼体色が毒々(うつく)しい……。

 22日の夜に我が研究室にやってきたタランチュラに、この夜、私は名前を付けた。
 P.レガリスはグリフォンからやってきたので「グリフ」、グリーンボトルは幼体色の模様が孫悟空の頭の輪っかを彷佛とさせるので、「ゴクウ」。2匹ともこれまた頑張って大きく育てたいと思っている。



Tarantula's Room入り口に戻る
タランチュラの飼育日誌vol.08へ戻る
タランチュラの飼育日誌vol.10へ





研究室入り口へ

研究室案内へ戻る
本・漫画・DVD・アニメ・家電・ゲーム | さまざまな報酬パターン | 共有エディタOverleaf
業界NO1のライブチャット | ライブチャット「BBchatTV」  無料お試し期間中で今だけお得に!
35000人以上の女性とライブチャット[BBchatTV] | 最新ニュース | Web検索 | ドメイン | 無料HPスペース