飼育日誌 vol.01 [1998年4月4日〜4月10日]




左が、情けない顔の雄。 右が、そばかすがチャーミングな雌。


4月4日(土)
 今日からS.salamandraの飼育を開始する事ができた。衛生管理部長もこのサラマンダーは お気に入りの様子で、これでこそ安心して研究をすすめる事ができると言うものだ。
 それにしても可愛い連中である。なんといってもこいつらは顔と仕草が可愛いのだ。雄の方は、 ちょうど両眼のうえに黄色の斑紋があってとても情けない顔になっている。愛い愛い。
 一応、大小の差から雌雄であるとの事だが、正確には分からない。
 車で運んだ上に、家についてからケージの制作を仕上げたので、長い間、せまいプラスチック のパックに押し込められていたため、ケージに放した時にはかなりぐったりとしていて、身体も すこし乾燥してしまい、ケージ前面の塩ビ板に「ペタっ、ピタっ、ペタっ」とはりついて、非常 に嫌な顔をしていた。どのぐらいまでの乾燥に耐えられるのか分からないが、どうやらこのケージ は失敗のようだ。乾燥しすぎなのはもとより、風通しが良すぎて餌のコオロギが逃げ出してしまう ほどなのだ。その上狭すぎるので、やはり余っている60×45×45のアクリル水槽を改造するしかな いようだ。
 しかし、となると置き場所を考え直さなければならない。もう水槽を置けるスペースなど、 私の狭い研究室には余っていないのだ。
 う〜ん、どうしたものか。



サラマンダー用ケージ[失敗作その1]

4月5日(日)
 餌のコオロギを与えてみるが、シェルターから顔を出しているのはいつも雄で、雌は餌を捕る どころか、姿も見せない。少し心配だ。
 雄には2匹のコオロギを与えた。薄暗い部屋の明かりの下でもしっかりと見えるらしく、僅かな 動きで対象物を捉え、静かに近づき、一瞬で食べてしまう。常からの、あのノロノロした動作と は一変して、捕獲の瞬間と言うものはどんな動物でもスピーディーになるものなのだ。
 そして、なぜこんなにも動作が可愛いのか、つきつめて考えてみた。よくよく考えてみると、 つまりこれは猫に通ずる仕草の可愛らしさではないだろうか?
 そろそろとした手足の動き、獲物を見つけた時の喜びの仕草、餌を捕らえた後のすまし顔、 全てが猫に通ずるものがある。たしか、ヒョウモントカゲモドキの補食の瞬間もこんな風だった と思う。こいつらの補食の動作と言うのは、猫が狙った獲物に飛びつく動作そのものなのだ。タメ の仕草が凄く似ている。
 それにしてもこの可愛さはちょっと違反ではないだろうか。



写っているのは全部雄。写真がしょぼいですね。ごめんなさい。

4月6日(月)
 今日も、シェルターの入り口に顔を出しているのは雄と思われる個体だけだ。
 サラマンダーのテリトリー意識と言うものがどの程度なのか分からないが、もしもこの2匹が ペアになっているとすれば、雄が巣であるシェルターを見張っているとかそういうことなのだろ うか? しかし、自然下でこんな雄ごときがでばっていても、外敵に狙われるだけのような気 もする。
 ただ単にシェルターが一つしかないから一緒に隠れているだけなのかも知れない。いずれケージ を大きくした時にシェルターを複数設置し、個体数を増やしてみれば、このへんは明らかになる 事と思う。
 雌と思われる個体がまるでシェルターから出てこない。死んでいたら大変な事だが、シェルター をあばいてしまうといつまでも落ち着かず、よけい隠れっぱなしということにもなりかねない。こ ういう動物の飼育におけるタイミングの難しさがここにある。
 あと、サラマンダーの餌についてだが、コオロギ以外に、ミミズやなめくじなどと本にはあるが、 釣り具店に売っているミミズは消毒液がかかっていて危険だということだ。しかしそれを買ってき て、一定期間土の中で飼育した場合、それは餌として安全なものになるのだろうか。なめくじは捕 まえようにも絶対に捕れるものでもないので、安定供給を目指すのならやはりミミズだろうと考え る。人工飼料では、ディスカスハンバーグなどに餌付けばいいと思うのだが、それも与えていいも のかどうか分からない。冷凍のピンクマウスがいけるのなら多分大丈夫だと思うが、栄養的には遠 く及びそうもない事は確かである。しかし、コオロギばかりよりはいいだろう。
 餌についてはまた後述する。



これがハムスターケージを改造して作ったサラマンダー用ビバリウム。その全貌。

4月7日(火)
 今朝、両個体ともシェルターから顔を出していた。可愛い。私の憂慮などまるで無視した無邪気 さだ。部屋の電気をつけた瞬間には2匹でいたものが、やはり5分もしないうちに、雌個体が奥に隠 れてしまう。
 昨日と同じく雄個体がシェルターの入り口にでばっているが、私の仮説通り、この2匹がペアで 雄が巣の入り口を守っているのだったら、とてもドラマチックだし、トントン拍子というやつなの だが、そんなに上手くいくわけもないだろう。矢毒で足下をすくわれているだけに、ニヤニヤして いる場合ではない。
 ケージ内に水場を設置してあるのだが、そこにやたらと水苔のカケラが入っているので夜の間に いろいろと動き回っているらしい。
 こんなに活動するなら、今週末にはケージを改善しなけらばならないかな。



この顔!! 雄だが、見ると雄の方が毒腺が小さい(?)。身体が小さいためか?

4月10日(金)
 まったく、油断も隙もないとはこのことだ。
 今朝、雌サラマンダーがケージから逃げ出していたのである。
 朝起きて、顔を洗い、歯ブラシを片手に部屋へ戻ると、なにやら足元から不穏な感じがつたわってきた。
「なんだろう、下に何か危険な感じが……」
 そう思い、ふと、視線をおとすと、そこには不機嫌そうな顔の雌サラマンダーがいるではないか。
「!!!!」
 そうである。あのファイアーサラマンダーの警戒色が、「ここに危険なものがあるぜぇ!!」と無言で主張して いたのである。人間、ぼんやりしたままで突然あの柄を見せられると、結構ビビルものがあった。咄嗟に 、本能的にと言っても良いが、危険を感じ、戦慄をおぼえるに充分な柄なのであった。
 彼女は埃まみれになりながら「のしのし」と歩いていた。夜行性のサラマンダーのこと、きっと一晩中歩き 回ったのだろう。
 それにしても、私と言う人間はまるで懲りていないようだ。
 しかしまさか、サラマンダーがこのケージから逃げ出せようとは。しかもアングルの上の方にケージが置いて あるにもかかわらず、よく無事でいてくれたものである。
 観察日誌的には面白い記事になるのだが、私の心臓には良くないのでやめてほしい。焦って「あたふた」と サラマンダーをケージに戻すと、彼女はすぐに水場に入り、身体中にまつわりついた埃をおとしてから、充分 に水分を補給した上、何食わぬ顔でシェルターに入っていった。
 出迎えるでも無く初めからシェルターの入り口にいた雄は、雌がシェルターに戻っても無反応である。これが、 まるっきり別の雄個体が入っていったとしても同じなのだろうか?
 無い物ねだりの感は否めないが、本当にこの2匹がペアだとよいのだが。もし雄が巣としてのシェルターを 守る役目を負っているのだとしたら、ペアとなった雌が一旦遠くに離れていっても、自分の相手である雌だと 認識していると言う事になる。
 う〜ん、そうなるとちょっと怪しい。やはりただ単にサラマンダーのテリト リー意識が稀薄なだけということか。
 こんなヌボ〜っとした顔からすると、そんな平和な想像の方が易いものではある。



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