飼育日誌 vol.02 [1998年4月10日〜4月17日]




新しいビバリウム。


4月10日(金)その夜
 朝、雌が逃げ出してしまったケージをやっとこさ直した。直したと言うのでは無く、まぁ、 早い話が別のケージを組み直したのだ。私の研究室の周りには空水槽やら、錆びたアングルやら、 手ごろな石やら流木やらが、ゴロゴロと転がっているので、とりあえずありあわせで。


P.ハーヴェイに使っていた30cm水槽で……

「狭いっっっ!!!」
「なんてぇ〜狭さだよこりゃ、おまいさん」
 コルクのシェルターが挟まって斜めにしないと入り切らないぐらいに狭い。この以前にもまし ての狭さには、さしものサラマンダーもびっくりだ。
 30cm水槽にヤシパネルを敷き、その上に水ゴケを敷いて、脇にはハムスター用の水入れを設置 (設置などと書くと格好良いが、ようするに置いただけである)。ただ設置したのではサラマン ダーが入りにくかろうと考え、水入れを置く部分のヤシパネルをもぎってどけ、そこにはめこん だもの。これで床は平らになり、水場にも入り易かろう。
 本にはあまり水に入らないとあるが、私の所では毎晩のように水場に入っている様子。ケージ が狭いためにか、部屋が暑いためにか分からない。
 二匹は一応仲良くやっている。……が、仲が良いやら悪いやら、こいつらの様子からはうかが えないのが事実だ。
 それにしても可愛い。私は可愛い生き物を見ると口に入れたくなる性分だが(ヤドクのオタマ 然り)、ファイアーサラマンダーを口にくわえる実験はもうしばらく先送りにしておこう。



真摯、誘惑、憂鬱。

4月12日(日)
 今日コオロギが切れてしまった。しかも与えた全てのコオロギを雄が食べている。雌は10日近 く何も食べていないことになる。Wild Skyの松園さん曰く「河村さんが、餌は一週間に一度くら いでいいと言っていたよ」と教えて下さったので、まるっきり油断していた。
 実はもう夜中なのだが、本当は今日、Wild Skyに行ってコオロギを買ってくる予定だったのだ。し かし、昨日今日と会社に泊まり込みで完徹作業をしていたので、徹夜明けの午後6時に車を飛ばすの はいたって危険なので、挫けてしまったのだ。明日、近所の熱帯魚屋をまわって小さいコオロギを 探すつもりだが、果たして明日も早く帰ってこられるかどうか?
 雌の様子も詳しく見られない。朝と夜に姿を見かけるが、まだ、その動きから調子を見極められ るほど、私の眼が鍛えられていないのだ。この可愛さばかりに眼がいってしまって。
 あと、今日帰宅してすぐに上の写真を撮ったのだが、その際にシェルターを暴いたら、奥の 方にサラマンダーの糞があった。まるで人間のもののようだ。きちんと消化されていて、濃い 緑色をしていた。ダークグリーンの油絵の具といえばイメージが伝わるだろうか?
 以前、タイガーサラマンダーを飼育していた時にはコオロギが未消化で排泄されることが多 かった。まぁ、当時はタイガーサラマンダーを9割り水場のアクアテラリウムで飼育してい たのであるが。
 いずれこの糞の写真もお届けしよう。しかし、両生類スカトロマニアってのも厄介な話だな。



セクシーな雌(多分)。

4月13日(月)
 今朝、犬の糞を片付けるため、庭に穴を掘っていたらミミズが出てきた。早速捕まえて、一応 洗浄し、与えてみる。物凄い勢いで食らい付き、一気に飲み込んでいく。ミミズが暴れようが、 何しようが容赦なし。
「すげぇ……」
 思わず口をついて出た言葉はその一言だったが、きっと表情は、とんでもなく情けない笑顔だ ったろう。とびきりマッドなやつで。
 以前から餌については色々悩んでいたのだが、ミミズは良さそうだ。釣り餌用のミミズを飼育 してみようかと算段中。しかしこの計画は、どこかのHPか本に、「釣り餌用のミミズは消毒さ れていて、その消毒液がよくない」とあったので、その問題が解決されるかどうかにかかって いる。



写真はすべて雌とおもわれる個体。

4月13日(月)の夜
 朝のうちに、はこさんのReptile Humanismの掲示板に、サラマンダーの餌用ミミズについて書 き込みをしておいたら、その返事をさっそく頂いた。ズバリ、釣り餌用のミミズはダメだそうだ。
 釣り餌用のミミズの多くは「シマミミズ」という種類のミミズで、消毒液だけで無く、体内 に有毒成分を持っているとのこと。そうなると天然モノ(なんかこう書くと旨そうだな)で も、シマミミズはダメということになり、ドバミミズを探さなければならない。しかし、シマ ミミズとドバミミズをどうやって見分ければ良いのか私は知らないので、得意のおんぶにだっ こ戦法で、もう一度質問を書き込んでおいた。いずれ回答が頂ける事と思う。こういう時、イ ンターネットのありがたみというものを強く感じる。
 さて、ミミズについてだが、雌の飢えが心配なので、とりあえず庭で採ってきたものを与え てみた。
 深夜2時に、懐中電灯片手にミミズを掘る男の姿。間違っても、幼馴染みのあの娘には見せら れない姿である(笑)。
 ちょっと江戸川乱歩のパノラマ島奇談の気分で、湿った土を掘る事約5分。土いじりなど久し ぶりで実に楽しい作業であった。ほとんど何の苦もなくミミズを手に入れ、ざっと洗って与 えてみた。
「うわっ、やっぱ、すげぇ……」
 いずれこの写真も撮ってお届けしようと思うが、まさに粘膜対決といった感じでかなりグロで ある。大脳旧皮質を刺激する事間違いなしの代物だ。
 調子が悪いように見えた雌もよろこんで食べていた。ピンセットから直接食べてくれたので 感動もひとしお。しかも「パクっ」と失敗、「くぅ〜、かわい〜」って、あぁ、堕ちてい く自分が怖い。



シェルターを登って顔を出す雌。

4月14日(火)
 昨夜のミミズの種類は明らかに2種類だったのだが、そのまま与えてしまった。今朝になって みると2匹とも元気だったのでひとまず安心。身体も昨日までは「シオシオ」だったが、今朝 は「プリっ」としている。生タラコから焼きタラコになった感じだ。
 思わず想像してしまったのが、「こいつらの子供って可愛いだろうなぁ……」である。
 私は、趣味でやっている以上、全ての飼育者は罪を自覚せねばならないという持論をもって 飼育に臨んでいる。どんなに飼育されている動物の状態が良かろうが、必ず野生にダメージを 与えているからだ。だから、飼育されている動物の繁殖は飼育者の義務だと思っている。無論、 種類的な例外もあるだろう。理想論であることも分かっているつもりだ。ただ、理想無き追求は 私の望むところでは無いだけだ。私は無神論者であるが、自然には大いなる敬意を抱いている。も ちろん完璧な奉仕が出来ているわけではない。しかし、せめて自分が飼っている繁殖可能な生物ぐ らいは繁殖させたいと思っている。それが、自己満足でしか無かったとしても、たとえ、うるさい 持論など抜きにしてもである。


彼女はいったい、どこを見つめているのだろうか?

 サラマンダーの子供、想像しただけでニヤけてしまう。10匹ぐらいの出産(?)だそうだか ら、それなら個別管理ができそうだ。そんな苦労を楽しみたい。まぁ、今の飼育環境では望む べくもないのだが。
「偉そうな事をいって、なんだお前は!!」と怒られそうでさえある。
 早くケージを改善しなくては。



久しぶりにシェルターから顔を出した雄。「あっ!!」気付いた顔してます。

4月14日(火)の夜
 Reptile Humanismの掲示板から、様々な情報を頂いた。大変感謝している。
 まず、普通、庭などで採れるミミズはドバミミズであろうということ。そして、ミミズの飼育 はミミズの脱走能力が意外に高く、結構困難であるということ。
 本当に色んな方が、経験や知識を惜しげも無く公開してくれるのでありがたい。いつか恩 返しできる日がくるといいのだが。
 サラマンダーに与えるミミズについては、毎週庭をほじって採る事にした。2匹のサラマンダ ーに与えるミミズくらい苦もなく捕まえられるので。あと、ミミズが意外と地表もしくは地表 近くにいるので驚いた。雨上がりの夜だったからだろうか。



今日は少し活発な雄。

4月15日(水)
 サラマンダーは狭いケージでも、それなりに暮らしている。コルクシェルターの上に登 って「ボー」っとどこかを眺めていたかと思うと、「のそのそ」下へ降りていってシェルタ ーの影に隠れたり。本当にのんびり暮らしている。
 う〜ん、これでは小学生の観察日記だ。全然研究じゃなくなっている。しかし、今の私に 実力以上のことなどできる訳もないので、しばらくこのままだがおつき合い願いたい。
 前のケージでは雄が常にシェルターから顔をのぞかせていたが、新しいケージにしてからは雌 が積極的に動き回っている。きっとこんな狭い所では嫌なのだろう。とかく女というものは我 が侭なものなのだ。雄は辟易としているのかも知れない。
 それとどういうわけか水入れの水があっという間に無くなる。まさかサラマンダーが飲んで いるとは思えない量なのだが。
 まぁ、それほどのことはないだろう。サラマンダーが水入れに入った時にこぼれたのかも 知れないし。



「う〜む、水を飲んだ犯人はどこかな……?」 「謎はすべて解けた!!」

4月16日(木)
 というわけで、名探偵サラ子のおかげで事件は解決した。まったくもってバカバカしい 理由であった。昨日大騒ぎしなくて本当に良かったと思っている。
 原因は毛細管現象だった。サラマンダーが歩き回る事によって、水苔が水入れに浸かり、 水を吸い上げていたのだ。……これにて一件落着。
 今のケージにしてから雌はでずっぱりで、雄は引っ込みっぱなしである。理由は分からない。雌 は朝晩シェルターの上に登って、その姿を見せてくれるが、雄は少し顔をのぞかせるだけで、 すぐシェルターに引っ込んでしまう。お腹が一杯で餌を捕る必要がないため、シェルターに隠 れて過ごしているのだろうか? そうなると雌が動き回る理由は?
 ともかくも、私の超希望的観測は全て、波間の砂城のごとく崩れ去ったという訳だ。



水ゴケからこんにちは。

4月17日(金)
 今朝は二匹とも姿が見られた。以前とは逆に、蛍光灯をつけると雄がさっさとシェルターに隠れ、 雌はそのままにしているという状態だ。
 雄の調子が悪いのかとも思っていたが、雌の尻尾を餌と間違えて飛びついたりしているので、 そうでもない様子だ。
「明日には大きな所に移してやるからな……」と雌の頭を撫でると、片目をつぶって嫌そうな 顔をしていた。
 毒腺の部分を良く見ると、ブツブツした毒を出す穴(と思われる部分)が、一つ一つ独立 した上で他と隣接するハニカム構造になっているのが解る。雄よりも雌の方が身体が大きい ためにか、毒腺の数が多く、背中や後ろ足の周りにある斑紋にも毒腺があるようだ。
 私が本当の研究者であったなら、いかにしてそこから毒が射出され、どんな風に襲い来る 敵を撃退するのか調べるところなのだが、あいにくそこまでの研究者魂はもちあわせていない。こ んなに可愛い連中に無理矢理ストレスを与えて毒をださせるなんて……思い浮かべただけで 目頭が熱くなってしまう。いずれ、本などを探して調べてみようと思う。それぐらいしか私に はできないが、それによって、なんとかこの小学生の観察日記風記事から 脱出したいと思っている。



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