飼育日誌 vol.05 [1998年6月5日〜6月15日]
飼育日誌 vol.05 [1998年6月5日〜6月15日]
のんきな二匹。
6月5日（金）
ここ最近はサラマンダーを見かけないせいか、日誌もあまり進んでいない。
水ゴケが乾き気味だが、これは冷房のためだと思われる。今度ケージの底にオアシスを埋 め、それによって湿度を保つことにした。
サラマンダーは二匹とも時々水場に浸かっているようだが、水場には糞をしなくなったの で、シェルターの中でしているようだ。週末には水ゴケを替えなくてはならない。時期的に すぐカビが生えてしまうのだ。
それにしても、いつみてもこいつらは「のんき」そのものの顔をしている。はたして、本 当にこいつらが敵に襲われた時に威嚇体勢を取り、最終兵器として「毒」を使うのか疑って しまいたくなる時がある。
サラマンダーには悪いのだが、このまま「のんき」な顔して食われてしまっている気がし てならないのだ。
「おっ、ブドウムシだぞ!!!」 「もぐもぐ……」 「ごっくん！」
「まだいるよ」 「もぐもぐ、もぐもぐ……」 「ダンゴムシはいらなぁ〜い」
6月7日（日）
今日、水ゴケを取り替えた。昨日からサラマンダーの落ち着きが急になくなったので、「 もしや？」と思ったら、案の定床材の汚れが原因だった。
糞がシェルター内のそこかしこにしてあり、中には水ゴケを食べてしまったらしい未消化 の糞もあった。
今日の所はブドウムシと、採集した何やらの幼虫でつなぎとしたが、週中にはミミズを捕 るなり、コオロギを買ってくるなりして餌を与えなくてはならないだろう。
ここのところの多量給餌のおかげで、小さかった雄が大きく育ち、雌と同じぐらいの大き さになった。毒腺も発達してき、これなら雌と見間違うのも仕方の無いことだろうと自分で 自分に言い訳しておく。
最近は突然気温が下がり、人間には大打撃だったが、サラマンダーには願ってもないこと だったようで活性もあがっている。やはり夏向けに冷蔵庫が必要だろうか？
「いやぁ〜ん」総排泄孔。
6月13日（土）
本日、我が研究室にスッポンの化石さんがいらっしゃった。私と、衛生管理部長はスッポ ンの化石さんと爬虫類倶楽部で待ち合わせ、そののち、鶏冠さん、夜叉さんと合流するため に、そのまま私の地元に引き返したのだが、いくらか時間が余ったので、こちらで待機する ことにしたのであった。
せっかく来て頂いたのだからと、サラマンダーの雌雄を判別して頂いた。
結果、両個体とも「雄」であろうとの事だった。
「ガァ〜ん!!」正直ちょっと悲しくなった。
今まで「サラ子」と呼んでいた個体は、事実上「オカマのサラ子」と化したわけである。し かも、今後、表記上どうやって二匹を区別したらいいのか迷っている。大きさも形質も、雌雄 までもが同じでは、個人的な呼称を付けるほかないではないか。これについてはもうしばらく 考えようと思っている。
爬虫類倶楽部で買ってきたコオロギを、サラマンダーとクロサンショウウオのケージにバラ マキで与えた後、鶏冠さん＆夜叉さん組と合流すべく、研究室を出る。スッポンの化石さんは アンフィビウスを気に入ってくれたようであった。
次にお客を招く時には、引っ越しも済んでゆっくりと見ていただける環境になっているとい いのだが……。
だんだん状態が良くなってきたのが、お解り頂けるだろうか？
手前が「雌」と思われていた、調子を崩していた個体である。
6月15日（月）
最近また水場で糞をするようになってきた。それほど神経質になって考えることではない だろうし、事実、悩んでいるわけでも無いのだが、理由が解るのならそれもまた面白いのだ ろうと、漠然と考えてはいる。
しかし、雄どうしだと言うのに全く争う様子も無い。余計な想像をしてしまう（笑）。同 じシェルターに雄個体どうしで隠れる生物など、私の少ない経験上では初めてだ。ここに雌 が入れば多少は違うのだろうか？
ともあれ、今後は特別なことが無い限り、このサラマンダー日誌は間隔があくことになる と思う。御愛読の諸兄には誠に申し訳ないが、なにせ、変化が無いのが元気な証拠である彼ら なれば、無理無理ムダな記事を書き連ねても意味が無いように判断した次第である。
今後は、その分だけ濃縮された内容の日誌をお届けできることと思う。
あしからずご了承いただけることを願いたい。
この瞳で見つめられたら、返す言葉も無い。
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