飼育日誌 vol.01 [1998年11月8日〜11月30日]




5名様、無事御到着。

11月8日(日)
 今日、瀬山さんのお宅から、5匹のD.auratusがやってきた。話せば長い事ながら、しかし話しておくと、事の次第は大体以下のような感じである。
 私の友人である鶏冠さんが以前からヤドクガエルを飼いたいと思っており、ビバリウムの事などを私に相談してくれていたのである。ちょうどそのころ爬虫類倶楽部に入荷していたヤドクガエルの中で、鶏冠さんが気にいった種類がD.auratusで、まぁ、その選択について私が反対する理由もいわれもなく「じゃぁ……」ということで、鶏冠さんのD.auratus飼育開始に向けて、二人で色々と計画を練っていたのである。
 そんな折り、まったく運命と言うやつは不可解なもので、どんな小さなできごとも不思議な巡り合わせと言うやつがあったりするものであり、まさに時期を同じくして、瀬山さんから蘭展のパンフレットの話で、私のところにメールが来たのである。その後、瀬山さんとメールのやり取りでヤドクガエルの話になり、殖えたヤドクガエルを引き取ってくれる方はいませんか?という話になったのである。
 この話を私が鶏冠さんにつなぎ、まぁ、そのあと、なんだかんだと細かい調整があって、今日、瀬山さんのお宅から、5匹のD.auratusが到着したというしだいである。


流山街道(順調)→環7(激順調)→瀬山さんちの方(ムチャ順調)

 我が有毒研究室から瀬山さんのお宅までは、ちょっとした距離で、私は衛生管理部長に運転を任せて、ひとり助手席で好き勝手にはしゃいで期待に胸をはずませながら地元を出発。早くに出発したうえに道も空いていたため、私と衛生管理部長は予定より2時間も早く待ち合わせの駅に到着してしまい、時間が余っているので瀬山さんに観光案内をしてもらってしまった。早い時間から、いろいろと申し訳ありませんでした、瀬山さん。
 名所である菓子屋横町や、蘭を沢山扱っている蘭の博物館などを案内していただき、ひとしきり楽しんだあと、ついに瀬山さんのビバリウムを見せていただくことになった。
 瀬山さんのHPで何度か見たことはあったものの、実物を見るのは非常に楽しみで、飼育部屋の扉の前に立った時、興奮からか血の気がちょっとひいてしまったりすると言うていたらく。
 ほどなく瀬山さんの飼育部屋に招き入れられ、部屋の奥にある巨大な緑の輝きを見た瞬間、思わず「ほわぁ〜」と声をあげてしまった。そして戸惑う頭に意識を集中して、ズッコケないように靴を脱ごうと身を屈めた瞬間、今度は巨大な灰色の物体が目に入ってきた。それは、それを嗜好するものには堪え難い魅力と、強力な怪電波を発信して相手を金縛りにあわせる能力を持っているものだった。
 なんと、そこにはフルサイズのP.アンフィビウスがユラユラと踊っていたのである。実際にこんな大きなアンフィを見るのは初めてのことで、さすがにこのデカさになると迫力が出てくるものだなぁ……などと思いながら、我が家にもアンフィはいるがまだまだ小さいのだと実感。このサイズを見せられると、熱帯魚の英名によく使われる「ドワーフ」の定義が怪しく思えてくるものである。
 さて、そんな魅惑の怪電波で私を捕らえたアンフィであるが、今日の私にはその魅力を凌駕するもっと凄いものが待受けているのであった。私は微笑んでアンフィから目をはなし、部屋の奥、真正面にあるビバリウムに吸い付けられるように部屋を突っ切っていった。もちろん、ちゃんと靴を脱ぎ終わったあとで……。


これぞビバリウム!!

 その時にはもう、なんと声をあげたのかさえ憶えていない。きっと間抜けな顔で「ほわぁ〜、ほわぁ〜」とか「ふへぇ〜、うひょ〜」とか言っていたに違いないのだが。
 覗いてみると、巨大ビバリウムの中には、数種数十匹のヤドクガエルがおり、私の精神は一瞬でヤドクの棲むジャングルへとトリップしてしまったのである。私の意識の中で、瀬山さんの飼育部屋の壁、天井、床は緑のカーテンがひかれたように漠然としたものに作り替えられ、目の前のビバリウムと同化し、一体となってしまったのである。


あぁ、幸せそうなカエル達……。

 そんな状態で惚けていたものであるから、全然まともな質問もできないまま、「じゃぁ、蛙を捕りましょう……」と言う事になってしまった。今思うと、これは非常に残念なことである。いろいろ聞ければ、多少なり、私のちんまいビバリウムにもなにか盛り込めるようなアイデアもあったかもしれないのに。
 まったく、後悔先にたたずというヤツである。
 ……で、一口に蛙を捕ると言っても、ビバリウムの規模が違うと大変な作業であった。なにせ、この瀬山さんの巨大ビバリウム、大の大人二人が並んで上半身をつっこめるほどの広さなのだ。そして当然、ビバリウムであるからして多湿なのであるが、これがまたいい雰囲気を醸し出してくれる。


カエルを「取る」のではなく、まさしく「捕る」のである。

 溶け輝くような緑色の背景の中から、小さなヤドクガエルをさがし出す。この作業の大変さと、楽しさ。やってみなければきっと分からない事であろう。
 3匹からさき、一向に捕まらない蛙を二人で、あっちをつつき、こっちをつつき、隅から追い立て、木の洞に指を突っ込みするうち、思わず口をついて出た言葉は「ヤドクガエルを採集した人というのは、こんなに大変だったのか」「しかも、触ったら死んでしまうかもしれない……」であった。
 もちろん、本当のジャングルなれば、ほかの脅威も沢山あった事だろうから、こんな楽園気分は微塵も味わう事はできないだろうが。


このビバリウムが人工物に見えるのなら、あなたの目はちょっとおかしい……。

 そんなこんなで、草をかき分け、汗を拭いつすること数十分。最終的には、あと3匹捕ろうとしていたのを2匹で断念したのであった。私の我が侭で、蛙達の楽園を荒らしてしまってごめんなさい、瀬山さん。


あぁ、もう一度行きたい。できるなら、棲みたい(笑)!!

 そもそも私は、鶏冠さんの分である3匹を引き取りに来たのであったが、この魅力的なビバリウムを前にして、「トキタさんはどうします?」と薦められてしまっては、断われるはずもないのであった。そして軟弱者の私も2匹引き取らせていただいたと言うわけである。


帰りは渋滞。撮影&運転:衛生管理部長様


「おじゃまします」。(侍風)

 帰り道では渋滞にはまり、時間が行きの倍以上もかかったため、輸送のストレスなど不安要素は多分にあったが、無事に5匹とも我が研究室にたどり着いた。秘密の虫も一緒に御到着である。


大気が怒りに満ちておる……。

 さっそくレウコのいるビバリウムに放すと、D.auratusは一瞬でどこかに隠れてしまった。帰宅した時は、タイマーによりビバリウムの蛍光灯は消えていたが、D.auratusを入れるのと同時に点灯し、用意しておいたSSコ100匹を与えておいた。出てきて食べるのはやはりというか、思った通りレウコばかりだが、どこかに隠れているD.auratusにも何匹かはまわっていくであろう。


D.auratus、D.leucomelasと遭遇。

 コオロギを与えてから1時間ほどで消灯し、その後深夜になって見てみると、3匹だけ姿が見えた。寝床が決まらずうろうろしているのであろうか?
 早く環境に慣れてくれるといいのだが。




発見したら急いで、かつ、そぉ〜っと撮影。

11月9日(月)
 二日目の朝、やはりオーラタスの姿は見えない。ハエを与えるが出てきて食べる様子もなかった。夜になり消灯すると、1匹だけ姿を見ることができた。こうやって見ていると、レウコにしろD.auratusにしろ、けっこう暗い中でも動き回っているのが分かる。D.ventri.などは、暗くなるとほとんど動いていない。
 我が研究室の場合、消灯と言ってもビバリウムのライトを消して、部屋の蛍光灯がついている状態がかなりのあいだ続くので、暗いとはいえ真の闇の中での観察結果ではない。私の勝手なイメージでは「月明かり」ぐらいのイメージでいるのだが、実際彼らにとってはどんな塩梅なのだろうか?
 今の場合、D.auratusが暗い中を動き回っているのは、やはり落ち着いていないのと、つまるところ隠れるに適した場所にレウコが既に陣取っていると言う事なのだろうと思う。……とはいえやはり、元気に動き回っている姿が見られるのは嬉しいものである。
 それともうひとつ気がついたのは、意外と水場が好きなのかな?ということである。レウコのビバリウムにはほんの少しであるが水場が有り、水草などが植えてあるのだが、そのそばにある流木の影などに隠れている姿が見えるのだ。比較対象として引き合いに出すならば、レウコは眠る時になると比較的乾燥した場所で寝ているように思う。しかしまぁ、それもこれもこんな小さなビバリウムでは、全然検証しようがないのではあるが。そもそもにおいて、先住のレウコがいい場所を取っているのだろうから。




進化したD.auratus二足歩行を始める(ウソ)。

11月24日(火)
 ドタバタしているあいだに、2週間が過ぎた。まったくもって光のような速さで、本当に「あっ!!」っというまであった。瀬山さんの家から、D.auratusがやってきてから、すでにもう2週間以上も経ったなんて、あの巨大ビバリウムの衝撃が抜けきらない私としては、にわかに信じる事ができない心境である。
 しかし、そもそもなんでそんなにドタバタしているのかと言うと、引っ越しが始まったからなのである。我が研究室の引っ越しが11月20日からはじまり、そのドタバタにまぎれて全ての事象が、快速の常磐線から見た綾瀬、亀有、金町のように「あっ!!」っと言う間に通り過ぎてゆくのである。
 そんな狂った私の時間感覚はともかく、D.auratusの方は多少我が研究室のビバリウムにも慣れてきたのか、ちょいちょいと姿を見せてくれるようになってきた。しかし、こちらの存在に気付かれるとあっと言う間に流木の下などに隠れてしまうため、観察には慎重さを要するのである。
 とはいえ、なかなか見えないと言うのも魅力的なもので、レウコのように、いっつも見えるところにいつもいるヤツラは、存在自体のありがた味が少々薄れるのは否めない事実であろう。
 ハエもちゃんと食べているようで、段々と太ってきている。この調子であれば、鶏冠さんに渡す前に死んでしまうと言うような事もなく済みそうである。
 観察していると、やはりレウコの陽気さと言うか神経の太さが目立ってくる。うちのレウコは驚かせない程度にこちらの姿を見せると餌を求めて近づいてくる事もある。
D.auratusももっと環境に慣れればそういった風になるのかも知れないが、もっと根本的に違うのかもしれない。今後の観察が楽しみである。




多少、環境に慣れたか???

11月30日(月)
 まだ引っ越しが終っていない。D.auratusには多少個体差が現れ、ほかの個体よりも太ってきたものもいる。同じビバリウムに5匹のD.auratusがいるわけであるが、同時に姿を見られるのはいつも2、3匹なので、状況的にクリアーな観察が出来ているわけではないのが残念である。しかし、この姿が見えないと言う事実こそが、正常な矢毒ビバリウムの弊害と驕っておく事にしようと思う。とはいえ、観察する時間が極端に短いのも一因ではあり、早目に引っ越しを終らせなければ、観察状況の向上は臨めないようである。
 先日、Wild Skyにて、我が家のD.auratusと同タイプのD.auratusを2匹売約にしてきた。これは我が家のD.auratusと繁殖を狙っての購入であるが、オランダからの便だそうなので、血的に遠い事と、うまく雌雄が揃う事を楽観的に期待している。
 しかし、その個体も引っ越しが終らなければ引き取りにいく事もできず、松園さんに迷惑をかけている。はぁ〜、なにはなくとも、早く引っ越しを終らせなければ。




このあとの飼育日誌は、[ヤドクガエルの飼育日誌vol.01]に続きます。



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