飼育日誌 vol.03 [1998年4月18日〜4月29日]




シェルターに潜む2匹。


4月18日(土)〜19日(日)
 今日は矢毒のビバリウムを組み直した。時間が押して夜中になってしまったが、その矢毒 を移動させた元のビバリウムにサラマンダーを収容しようと考えた。
 30cm水槽では今朝までシェルターの上にいた雌に代わって雄がシェルターの上に登ってい る。まさか見張りを交代した訳でもあるまい。そこまで組織的な行動をとるとは思えない。た だの気紛れだろうと思う。
 元矢毒用ビバリウムの植物をある程度取り除き、今日の昼間Wild Skyでお会いした河村さん から、「この時期は産卵場から捕ってくるので、子持ちの場合が多い」と、耳寄りな情報を仕 入れてきたこともあり、下心丸出しで水場も用意。シャワーパイプから滝のように水が落ちて 格好いい!!
 早速サラマンダーを元矢毒用だったビバリウムに移し、シェルターも設置。この時点でAM1:00。
 以下、その後の様子。
1.AM1:00、雄が落ち着かずに動き回っている。
「うん、うん、広々していいだろう」
「おっ、雄がビバリウム内を見回っているぞ」
「雌は早速シェルターに隠れたな」
2.AM3:00、雄がまだ動き回っている。どうにも落ち着かない様子。
「シェルターに入りたくないのかな?」
3.AM4:00、雄、アクリル面を這い登るような動作を繰り返す。
「……なんだ、もがいてるのか?」
4.AM5:00、雄はまだ歩き回っている。
「AM1:00から4時間もぶっ続けで動き回るなんて……?」
 この時点で私は就寝。疑問を抱きながらも、やがて落ち着くだろうと楽観的に判断。
5.AM10:00起床。さっそくビバリウムを覗く。
「うわっ!! 雌までもがいてる!」


もがいてます……

 これはさすがにマズイのでは? と思い、近所の熱帯魚屋へ水槽を買いに出かけるも、 そのお店でチランヂアやアナナスにみとれ、あまつさえヘルベンダーを憧れのまなざしで 見つめること数十分。結局、欲しいサイズの水槽は品切れで、昼飯を食べてから帰宅。
6.PM2:00、雄も雌も、じっとしている。
「おっ?! 雄も雌も一応落ち着く場所を見つけたみたいだな。やっぱ、最初の日はこんなもんか」  昨日の疲れと、陽気の良さもあってお昼寝。(So-netのサーバ不良で外部とも連絡取れず、 フテ寝である)
7.PM7:00、心地よく目覚める、しかし、ビバリウムを覗くとサラマンダーたちが全く動いて いない!!
「動いていないだけじゃない、なにかを嫌がってる?!」
 原因はシャワーパイプからの流水による飛沫だった。シェルターの外側にぴったりと張り 付いて隠れている雌にいたっては、指で触ってみても全くの無反応!!!
「いかん!!」
 急遽、元いた30cm水槽をセットし直し、サラマンダーを戻す。
8.PM8:00、サラマンダーやっと落ち着く。なんと、19時間も嫌がり続けていたのだ。
 今回分かった事は、「ファイアーサラマンダーは水の飛沫が嫌い」ということだ。


水無し、水有り。


ほっと一息……「ほっ」。


 30cm水槽に戻った2匹は「狭いながらも楽しい我が家」と言ったかどうかは定かでないが、捕っ てきたミミズを頬ばっていた。ただ、雌の方がダメージが重く、一度くわえたミミズを結局吐き 出してしまった。
 サラマンダーのケージはシンプルなシステムのまま、ややサイズアップをするだけにとどめ ようかと考える。こまめな掃除を心掛ければ濾過などは不要なのかも知れない。更なる試行を 経て完成を目指そう。雌が早く回復してくれると良いのだが。明日、もう一度ミミズを与えて みよう。
 ミミズの件であるが、当日誌における記述に対して、質問を頂いた。
・本当に釣り餌用のミミズは消毒されているのか?
・ミミズの有毒成分(ルンブロフェリン)とは、解熱成分であり、変温動物であるサラマンダ ーに害はないのではないか?
 の2点である。この2点については私なりに追求したいと思うのでしばし待たれたい。


サラマンダーが一番絵になるポーズ。

4月20日(月)
 雌のダメージが想像以上に大きかったらしい。今日は昼間から快晴であったため、私の研究室 は、高温の上に多湿、そのうえ蒸れ蒸れだった。若奥様はムレムレにこした事はないのだが、サ ラマンダーの飼育にはよろしくない。2匹とも、ぐったりして動きがない。それでも雄の方は昨 日エサをたらふく食べているので、身体にハリがあるのだが、雌はしぼんだ感じだ。昨日は30cm をセットし直したと書いたが、実際には、水入れの水を替えフンを取り除いてサラマンダーを移 し替えただけだったが、今日は水ゴケを全て新しくし、床材にしていたヤシパネルを取り除いて、 塩ビのスノコを敷いた。これで多少のムレは防げるかもしれない。


両生類はなぜ遠くを見つめるのだろう……?

 ビバリウムガイドNo.3に水ゴケは使う前に1週間以上水に浸け、使用前に電子レンジで消毒して から使うようにとあった。粗悪品には科学物質か細菌が混入していた例があって、肌の弱い両生 類が一晩で死亡したとのことである。これは困った。ウチには電子レンジがあるにはあるのだが、 ぶっ壊れているのだ。はてさて餌の問題もそうだが、床材まで問題が出てきた。このあいだから 困ってばっかりである。
 餌ミミズの件も疑問がもちあがり、今現在考えられる限りのツテを頼って色々と調べている 最中であるが、聞いてばかりいると言うのも情けない話なので、自分なりにも調べてみようと 思う。経過は繁雑になるのでここには記さないが、いずれ報告できる事と思う。


このように、夜になると活発に動き回る。

4月21日(火)
 今日も一日暑くて心配だったが、2匹とも回復したようである。雌は先週から餌を食べていない ので、今夜あたりミミズを採らなくては。
 ケージについてはサラマンダーのケージは狭くても良いので、落ち着かせる事を重視した方が いいと、Reptile Humanismの掲示板から教えて頂いたので、30cm水槽のままでもいいかと思い始 めている。
 餌のミミズに関しては、とりあえずトウキョウサンショウウオが安価で売られているので、そ ちらを購入して「実験」なるものを行ってみようと思う。心を鬼にして、釣り餌ミミズ実用化実 験を行うつもりなのだが、いまの研究所の室内環境では、温度が高すぎてサンショウウオは飼育 できそうにもない。早くもクーラー作動か? いつまでも回復しない日本経済と同じく、またし ても私の景気も回復しないまま悪化すると言う訳だ。


「おいっす!!」

4月24日(木)
 昨日はReptile Humanismのチャットで有意義な時間を過ごさせて頂いた。ますます有毒生物に 興味がわいてきたのは言うまでもない。
 さて、サラマンダーである。
 雌の状態がまた悪化したようだ。餌のミミズに対する反応が弱く、雄に横取りされてし まう。そんな訳で、なんとか雌にもミミズをと、毎晩ミミズを掘っている。だんだんミミズの 動きが暗い中でも見えるようになってきた。このままいくと40年後には「ミミズ掘り人間国宝」 になっているかもしれない。
 冗談はおいておくとして、本当に雌が心配だ。ただ、夜中には歩き回っているので、餌を食べ る気はあるらしい。暑さが良くないのだろう。
 この間の実験用に、クロサンショウウオを購入し、飼育を開始した。トウキョウサンショウウ オよりも珍しいという店の売り込みに惹かれてこちらを購入したのだが、飼育に関しては、より 低温を好むとあって難しいそうである。
 こいつらはシマミミズのもつ毒性が、補食者であるサンショウウオにどのような影響を与える のかを調べるために購入したのだが、どうやらそれはあまりに無謀と言う事で、計画段階で中止 にした。結果が明らかなので、無為に殺してしまう事はないだろうとのアドバイスを頂いたのだ。
 しかるに、ミミズに関してはもう少し情報を収集してから、この場に報告したいと思う。


這い出てきたのは雄。

4月27日(月)
 昨日、今日と気温がぐんと下がった。部屋の中も20℃以下に下がっているらしく、無加温のサ ラマンダーケージ内では、2匹のサラマンダーが元気を取り戻した。
 昨日は20匹のコオロギ(3令)を与えたのだが、あっというまに食べきってしまった。
 そのあと、ケージ内の掃除をし、水ゴケを新しいものに取り替えようとした時に、調子が悪か った原因と思えるものが一つ見つかった。スノコにしていた塩ビ板と脚の部分(塩ビパイプ)を 接着している接着剤が、どうやらまだ残っていたらしいのだ。このスノコは以前(2年ほど前)熱 帯魚の濾過槽用に作ったものであるが、さすがにもう接着剤の揮発成分は無くなっただろうと油 断していた。取り出した水ゴケがシンナー臭い。サラマンダーたちはずっとラリっていたの か? その割りには雄は元気が良さそうだった。とけない謎がまた一つ増えてしまった気分だ。し かし、雌の体調も回復したようなので、問題だったのは温度なのかもしれない。夏がこせ るか心配だ。


かわいちゃってる雄。

4月28日(火)
 ここ2、3日の寒さでサラマンダーの調子がいい。多分、飼育を始めてから、もっとも気温が低 いのではないだろうか。2匹でシェルターから這い出て、楽しそうに(?)ボーっとしている。時 々、水を飲んでいるのか分からないが、水入れに口、というか顔を浸けたりしている。まさか、出 産?! などと、興奮して1時間ぐらい「じぃー」っと見つめていたが、当のサラマンダーも「じぃ ー」っとしていて、まったくなんの動きもない1時間であった。
 サラマンダーは意外と眼が良いのか、遠くで泳いでいるアピストの子供たちを食べようとして ガラス面に顔をぶつけている。「コツっ、コツっ」って、何の音かと思ったらその音だったのだ。
 そんなに腹減ってんのか?


おまけ、クロサンショウウオ。

4月29日(水・祝)
 昨夜、Reptile Humanismのチャットで有毒生物部のミーティングを行った。サラマンダー情報を 色々とまた教わったのだが、あいかわらず自分の無知さを思い知るばかりとなった。クロサンショ ウウオの実験、無断開始に関して、アドバイス下さった方々に、この場においても深くお詫びし たい。
 私は、せっかくやめるようにとのアドバイスを頂き、やめます、と言っておきながら、ついに は我慢できなくなり、無断で決行してしまった裏切り者なのである。
 4月26日から釣り餌用ミミズをクロサンショウウオに与えているが、暑さのために食いが悪く、 飼育そのものの継続が危ぶまれる始末。そんな私に、クロサンショウウオの飼育に関してもアド バイスして頂き、重ね重ねに頭が下がる思いです。
 結果については、後々このホームページで公開するつもりであるが、サンショウウオが暑さで 死亡のため実験終了なんて事にならないよう、頑張らなければ。
 チャットの途中で雌が出産を思わせる行為をとった。水入れに下半身だけ浸かり、数時間じっ としていたのだ。
「これは!!」と思い、チャットの途中ではあったが観察していると、だんだん下腹部が膨 らんできた。チャット終了後、30分程様子を見るが、その後雌は水場を出たり入ったりし、 しまいには何も起こらないまま、シェルターに入って行ってしまった。結局出産は行われな かった訳だが、それほど落胆はしていない。この様子なら近い内に産むかもしれないと考え ている。
 あと、サラマンダーなどの陸生の有尾類は水ゴケなどの床材に潜っている方が本来調子が 良いのだと教えて頂き、床材を厚く敷くようにとの指示を頂いた。
 となると、この日誌における先週分の全てが全く違った意味になってしまう。私が調子が 良いと思っていた、シェルターから出て、歩き回っているというのは、サラマンダーが落ち 着いていない証拠であり、調子が悪いと思った日に雌がとった行為は、シェルター内で水ゴ ケに潜っているという状態なのだ。
 う〜ん、悩みはつきるどころか増える一方だが、とりあえず頂いたアドバイス通りに床材 を厚くして様子を見るしかないようだ。水槽はもう少し大きいものに替えようと思う。
 しかし、こういう試行錯誤が生物を飼育する楽しみの一つである。と、最近は考えるよう になってきた。



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