ヘビの飼育日誌 vol.12 [1999年9月13日〜9月27日]




久しぶりのしろてん。

9月13日(月)
 金曜日にたま子が脱皮した。
 脱皮後もやはり、目のさめるような白さにはならなかった。だがどうもこの黄色さは汚れのように見える。
 本来、コースタルではなくデザートフェイズなのだから真っ白になってもらいたいものなのだが、これでもし大きくなってきてクリーム色になってしまうようではちょっと悲しすぎる。


 土曜日の夜には活ピンクを買ってきて、ピーチとたま子に与えた。たま子は脱皮で拒食だったためすぐに食べてくれた。これで安心だ。次は冷凍ピンク2匹に挑戦だ。
 問題はピーチの方だが、プラケの蓋を開け活ピンクをさしだすと、待ってましたとばかりに食らい付いてきた。
 これには驚かされた。
 絶対食わないだろうと思っていたからだ。
 しかし現実は違っていた。食わないと思っていたものが食ったり、食うはずの連中が食わなかったり、世界には様々な現象がそれぞれのルールで起きているんだと、妙に思想的な事を考えてしまった。
 ピーチは一度活ピンクに食らい付き、それを地面に叩き付けるような動作をした。一度口から放してしまったが、その後のマウスの様子を見ている緊張感が、食い気がない時とはまったく違っていた。
 やがてピーチはゆっくりとマウスの頭に食らい付き、もがくその身体を自分の長い身体で巻き付けて動きを止め、さらにゆっくりと飲み込んでいった。
 私は同時に深い溜め息をついた。


 ピーチの給餌が終りそうになった時、私は驚かせないようにと思い、ピーチのケージの蓋をしっかり「カチッ」と閉めないでおいてしまった。
 これが間違いの元で、30分後ぐらいに様子を見に行った時、ピーチの姿がケージ内の何処にも見当たらなかった。
 おぉ、今思い出しても恐ろしい。
 しろてんやお嬢なら大概の連中には負けないだろうが、ピーチは我が家でも最弱の部類にはいる。私は焦った。背中と喉元に冷たい汗が流れる。
 とにかく捜索を開始した。ケージの下、裏、水槽の下、アングルの奥……。しかしピーチは見つからなかった。  私は一度落ち着く事にし、蛇の行動パターンを考える事にした。蛇の行動パターン、そう、1年間蛇と付き合ってきたあいだの事を思い出し、蛇と言うものを振り返ってみる。
 蛇は、何者かに襲われたのでない限り、パニックになるような事はない。そして自ら望んで危険なダイブをする事もない。つまり、ケージからでた瞬間に床に落ちたのでない限り、もと居たケージと同じ高さの場所にいるはずだ。
 ピーチのケージは3段重ねの衣装ケースの上に、フラット型プラケを置いた更に上に重ねてある。とりあえず、この高さから蛇の捜索を開始する事にした。
 なにせ相手は小さすぎるのだ、どんな敵とであってもまずいし、出会わなくても飢えと乾きであっという間に死んでしまうだろう。くそっ、やっと餌づいたと言うのに!!
 しかし私はすぐに確信した。
 蛇が隠れそうな場所がすぐに思い付いたのだ。
 蛇ケージをおいてある場所は、部屋の一番奥の窓際で、窓枠は15cm程の幅がある。そこに使い古しのシェルター(小鳥用巣箱)を3つ並べておいておいたのだ。
 この巣箱は、ずっと、衛生管理部長に「片付けろ、片付けろ」と言われ続けている品である。
 窓枠の高さが3段重ね衣装ケースより少し高く、その上のフラット型プラケの上面部、つまり、ピーチの居たケージのおいてある床面が、巣箱の入口の高さになっている。
 私はむしろ確信し、ここにいなかったら見つからないだろうと考えながら、並べてある巣箱を一つずつ調べた。  1つ目はカラっぽ、そして2つ目を手にとった瞬間、蛇の重みを感じた。
「やった、よかった。」小さな声で喜んで、私はピーチをプラケに戻した。
 最近、蛇の脱走が頻繁に起きている、気を付けなくては。


 もうひとつ脱走ネタを……。
 そのピーチより前、3日の金曜日の朝、お嬢がまた脱走した。今度は引出し式衣装ケースを自分で開けて逃げたらしい。
 朝、蛇ケージの様子をチェックしていると、お嬢の姿が見えなかった。キッチンペーパーの下に隠れているのかと思い、一応、念を入れてめくってみる事にした。
 しかし……「いない」。
 私は焦った。もう、朝っぱらからドキドキだ。
 お嬢はけっこう登りたがるタチなので、肺魚の水槽に入ってしまいかねない。しかも、最近太ってきている事も心配で、抜けようと思ったところを抜けられなくて死んでしまうと言う事もあるかも知れない。
 私は、会社に行く時間になる前になんとか捜し出そうと思った。
 その時になって、現場の異変に気がついた。
 イエアメの雨子のプラケが床に落ちて横倒しになり、床に水がぶちまけられているのだ。
 これはおかしい。昨日は餌をやって家太のケージの上においといたはずだった。しかし、その雨子のケージだけ床に落ちている。まるでミステリーだった。
 私はとりあえず、床の上を探した。3段ケースの下、水槽の下、アングルの裏……。しかし何処にもお嬢はいなかった。
 このままではしょうがないと思い、雨子のケージをもとの位置に戻した。その時、雨子のケージのあった場所を再確認して思い付いた事があった。
「お嬢は上に登りたがる!」私は、ちょっと興奮して床からお嬢が這い登り、家太のプラケに巻き付いてさらに雨子のケージをぐらつかせながらどんどん上に登っていく様を想像した。
 そのお嬢が進む先にあったもの、それは、空のバケツに自作のフィルターを乗せ、その上に買い置きのデカいコルクシェルターが3つ重ねてあるものだった。
「そういや、このあいだ逃げ出した時はこのコルクシェルターの上でトグロ捲いてやがったなぁ……」と考えた瞬間、お嬢のピンクの目と私の目があった。
 3つ重ねたコルクシェルターの2段目と3段目のあいだから、にょろりと顔をだしていたのだ。
「見てやがったのか、コノヤロ!!」
 そうやって私はお嬢を発見した。
「なんなんだ、お前は。そんなに好きか、コルクシェルターが。」私は笑いながらデブったお嬢を捕まえ、ケージに戻した。
 今度はケージが開かないようにケージの取っ手にガムテープをはり付けた。デブのパワーは侮れない。



9月17日(金)
 昨日、マリオが脱皮した。随分長い脱皮期間だったが、綺麗に脱いでくれたので一安心だ。脱皮殻を計ったところサイズは40cm。しろてんの皮で脱皮殻の正確性を感じたので、今後は脱皮殻で体長を記録していこうと思う。
 ちなみに、この前脱皮したたま子は47cmであった。



9月24日(金)
 昨日、ピーチが脱皮をした。脱皮殻計測値37cmである。
 しかしやはりピーチは餌を食べない。
 いや、ピーチどころか、脱皮前のポンチョ、カバヴーはもちろん、その他の蛇も全て餌を食べないのである。前回給餌の時から食べないのであるが、これはどうやらマウスの解凍法に問題があるようだ。
 私は最近、マウスを解凍するのにジップロックというビニール袋にマウスを入れ、それを湯せんして解凍する方法をとっている。この方法だと、マウスにビニールの臭いが付くようなのだ。
 今度は、別の解凍法でマウスを解凍し、与えてみようと思う。


 それにしてもピーチとたま子は食べない。
 同じ解凍法で、ノブとロッチーそしてマリオとブイヨンは食べているのである。
 それでもまだピーチは餌に反応を示すのだが、たま子にいたっては、まるで駄目なのである。まずケージに慣れていないように思う。たま子はいつ見てもケージ内をうろつき、落ち着いている時がほとんどない。したがって餌を与えようとする時にもケージの外へ出ようとするばかりで餌に興味を示さないのだ。
 これも週末には改善する予定だ。


 ジゴロがヤバいことになってしまった。  前回脱走した時に負った傷が、なかなか治らないのだ。素人目には定かでないが、もしかするとこのまま悪化して化膿してしまうかもしれない。これも全てショボいケージに入れている私が悪いのだ。
 しかも今朝、また脱走されてしまった。もうあのケージを諦めて、とりあえず前のプラケに戻した。


 つい先日、マンダリンラットスネークを殺してしまって以来、悪い書き方をすればある意味「肩の荷がおりた」のだが、ここに来て蛇達の状況は悪い方へ傾きつつあり、精神的負担が大きくなってきた。
 だからストレスの少ないブロメリアに心が傾いているのだと、理解はしている。


 蛇ケージ製作はともかく計画を進めているところだ。ずいぶんのんびり構えていたものだから、ついに季節は秋に突入しようという勢いだ。そして、ここ何日かでは急に冷え込んだりして、季節がとてもあいまいな時季に入ってきた。昼夜の温度差が激しすぎるとエアコンをどう設定すれば良いか迷う。
 さらに、来年のブリーディングに向けてそろそろ冬眠の準備というか、心構えをしておかなくてはならない。



9月27日(月)
 ここにきて、またしても新しい蛇を購入してしまった。
 ついに衛生管理部長がリボに手を出したという訳である。
 購入したのは3匹、しかも全てカリキンのデザートフェイズだ。


左がオス、右がメス。

 以前から探していたフィフティの雄と、さらに75%のペア。この75%のペアの方が問題で、このペアの雌が完全に90%なのである。もう、たま子よりもずっと白い面積が多いような気がして、どうにも我慢できなくなっての購入だ。
 これにより我が家のカリキン・ラインナップはかなり強力なものになった。

・デザートバンデッド
 しろてん ♀
 ポチ子 ♀
 名称未定(50%) ♂

・デザートストライプ
 にこたん ♀
 ブイヨン(アルビノ) ♂

・クレイジー
 カプチー ♂

・75%&90%
 たま子 ♀
 名称未定 ♂、♀

 総勢、9匹のカリキン。しかも全てデザートフェイズ。我が家では白と黒が、ニョロニョロ、ウロウロしっぱなしである。
 まだみんな小さいので来年のブリーディングは、しろてんとカプチーになるが、再来年からは凄い事になるだろう(凄い事にしたい)。
 またしても捕らぬタヌキの……であるが、自己満足のために書いておこう。
 まず、バンドのハイパーセンテージ。これはしろてん、ポチ子と今回買ったフィフティの雄をトリオでかけ合わせる事により、かなり白い面積の多いバンドの個体がとれると思う。そしてストライプのヘテロ。にこたんとブイヨンの子なら、パーフェクトの割合いは高いだろう。さらにカプチーをからめたクレイジーもとれるし、たま子以下のハイパーセンテージの個体同士を掛け合わせ、90%以上の個体を目ざす。
 それらカリキンの他に、再来年はノブロッチも繁殖可能だろうし、マリオとピーチの子も当然とりたい。それに、カバヴーだって忘れている訳じゃない。来年にはペアにしたいと思っているのだ……。
 実力もないのに、夢ばかり膨らんでいるのが、今の私である。


 最近悩んでいると言うか、困っているのが蛇の英名についてである。私も詳しくないので、用語そのものも解らないのだが、バンド、ストライプぐらいはいいとして、フィフティ以上のカリキンをどうやって呼んだら(表記)したらいいのか解らない。
 ので、ここで私がその呼び名を作る事にした。私が知らないだけで、もうすでに呼び方はきちんとついていて、それは歴史を持っているのかも知れないが、そんなものはおかまいなしにこちらはこちらで勝手に付けてしまおうと思う。
 50%をフィフティと呼ぶのなら、それに習うべきだが、セブンティやナインティだとなんかおざなりだし、ホワイティを連想するのでちょっと恥ずかしい。
 そこで、すでに上記しているのだが、ハイパーセンテージ(白い部分を差す)を基本的な呼び方(総称)にして、75%ならばハイパー75、90%ならハイパー90と呼ぶことにする。
 なぜだか「蛇の本」に、バナナフェイズのハイパーセンテージは沢山載っていて色々呼び方も紹介されているのだが、デザートフェイズにはそれらしき表記がないのである。
 上の名付け法にしたがうと、我が家にいるのはハイパー90の雌と、ハイパー75のペアと言う事になる。今後もし、専門誌などで本当の呼び方が紹介されたなら、それにしたがうが、それまではこのページや私自身は上記の方法で呼びわける事にする。


 先週末、蛇ケージを作ろうと思っていたが、矢毒の方のビバリウムセットでそれどころでは無くなってしまった。
 しかし、ハチクラに蛇を購入にいった際、ケージの方もじっくりと見てきたので、アイデアもかなり現実味をおびてきた。そろそろマジで実行に移そう。
 何と言っても、ジゴロとポンチョとカバヴーのケージが狭すぎる。


 心配していたたま子とピーチの餌食いだが、どうやら活は食べてくれるようだ。
 私の予想ではピーチの方がより早く冷凍に餌づいてくれそうである。
 今回あらたに購入した3匹は餌付き済み個体と言う事で安心はしている。


 今回購入した3匹のカリキン、さっそく名前を考えなくてはいけない。1匹は既に決まっていて、その名は「隊長」だ。これはフィフティの雄に付けた名前なのだが、なぜ彼が隊長なのかと言えば、彼の頭部に「剃り込み」状の模様があるからだ。
 剃り込と言えば隊長なのだ。
 そして残りの2匹、ハイパー75のペアである2匹にはまだ名前が付いていない。しばらく飼えばなにかいい案も思い付くであろう。



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