飼育日誌 vol.02 [1998年1月27日〜2月16日]




1月27日(月)
 意外と順調な滑り出しにちょっと驚き。随分前から友人が何匹も蛙を殺してしまうのを見ていたし、 私も実は、その昔初めて(かどうかは定かではないが、私の周りでは初めてであった)ベルツノが 日本に大量に出回ったころ、一発で衝動買いをして殺してしまった事があった。
 そのベルツノの話、恥ずかしい話ではあるが、エピソードとして記しておくと、 大体こんな感じだったとおもう。

 その頃私は高校2年生であったが、アクアライフの特集に影響を受け、タイガーサラマンダーを 60cm水槽のアクアテラで飼っていたのです。
 そんなある日、世にも奇妙な蛙が行き付けのショップに並んでいるではありませんか。
 その日のうちにそいつを手に入れ、サラマンダーのいるアクアテラに放して御満悦。 (うわっ! 書いてて恐ろしい)
 その日は「蛙ってあんまり動かないもんだなぁ…」などと無邪気に考え、無邪気に就寝。
 ところが次の日、学校から帰ると、恐ろしい事が!
 な、なんと、ベルツノの口から、緑色のベロがとびでている!? ……い、いや、これは……!
 それはベルツノに飲み込まれたサラマンダーの尾でありました。
 急いで私は、むんずとベルツノを掴み、サラマンダーの尾を持って引き抜きました。
「ペッ!」と吐き出されたサラマンダーは何とか無事で、ベルツノの方も、べつに訴えるつもりも ないようです。
「ふう〜。これで一安心」
 ベルツノは他の水槽に移し、それから2、3日が過ぎました。
「蛙って本当に動かないなぁ……」
 餌のコオロギにもまったく反応しません。
 サラマンダーはすこぶる元気。
「……」  ついに、我慢しきれなくなった私は、ベルツノをつついてみました。
 ……もう、死んでいました。

 全国のベルツノ愛好家の皆様申し訳ありません。
 こんなふうに、私にとっては蛙は近寄りがたいものといったイメージがあったのですが。
 ヤドクガエルは非常に順調。しかし、こんなに安穏とした日々がいつまで続くものやら。


2月8日(日)
 オスの鳴き声が激しくなってきた。抱接は確認できなかったが、身体を擦り合わせる動作や、 同じ葉腋に隠れる等の行動を繰り返している様子が観察できる。しかし、そっと覗かないと すぐにオスが隠れてしまい、メスは取り残されたようになってしまう。人陰が見えるのだろうか?
 同時にメスが随分と太ってきた。以前のふっくらさとは違った「でっぷり」というような感じ になる。身体の準備ができてきたといったところであろうか。……矢毒ガエルは体内受精なの だろうか? どこかですでに交接し、抱卵したのか? そんなこともわからないで、ただ期待だけが 高まっていく。

2月14日(土)
 オスの鳴き声がほとんど絶え間なく聞こえるようになる。
 ずっとビバリウムの前に座り込んで観察していると、オスが小さな身体を懸命に震わせて 鳴き声をだしている様子が見える。それが何時間も続くと、いったいこの小さな身体のどこに そんなエネルギーが秘められているのか? と疑問に思う。それと同時に同じオスとしての 悲哀までを共感させられた。
「オスって哀しい……」
 オスは鳴き続けながらメスに接近し、メスの周りを回るような仕草を見せる。 この間まではまるでオスを無視していたメスも、ついに情に絆されたのか、 オスの鳴き声に合わせて時折頭を上下させるようになる。しかし、オスの誘いにはついてゆかず、 目の前を走る餌などに気をとられる始末だ。全く許せん!
 オスの鳴き声は、消灯後しばらく続いた。(注:この場合の消灯とはビバリウムの照明を落とし、 室内灯がついている状態。「夕闇の森」というような感じ)
 その薄暗さがまた、オスの哀しさを思わせた。


2月15日(日)
 今日も引き続きオスが鳴いている。その甲斐あってか、メスは次第に激しい感情の高ぶりの ようなものを見せるようになる。昨日と同じ動作を数回繰り返した後、オスに誘われてアナナスの 葉腋に入り、5〜15分じっとしている。おそらくこの時に産卵したと思われる。……とすると、 この間からのオスの行動は、産卵を誘発するための物なのだろうか? しかし、全ては想像の域を 出ない。


2月16日(月)
 昨日のアナナスの葉腋に3つの卵を確認。話に聞いていたのとは違って、卵は完全に水に浸かった 状態であった。うち2つは卵割しているようすがうかがえるが、1つは半分白くなっていて、 フミヤの鈴カスを思わせる。
 卵のゼラチン質の周りを、さらに粘着質の膜が覆っており、けっこう強力にくっついていて、 アナナスの葉から剥がすのには相当苦労させられた。卵を傷つけまいと思って胃がきりきりと痛み、 汗を拭う気分はまさに難手術に向かうブラックジャックの気分だった。ピノコはいないが プレコならいる。
 卵を取り出す日の朝、オスの姿は全く別の所にあり、帰宅した後も(P.M.8:00過ぎ)オスが卵を 守っている様子はなかった。そのうえ、離れた場所にいて近付く素振りもなかったので、いそいで 卵を取り出したという訳なのだが、樹上棲の種はテリトリーが広いということなので、オスは テリトリー内に卵があるということで守っているつもりだったのかも知れない。あせって卵を取り出 してしまったことを少々後悔している。しかし、Wild SkyでE.tricolorが卵を守っている姿を見せて もらっていたので、ウチのオスの様子から「ああ、これは卵を見捨てたんだな」と、判断したのだ。
 だがそれも、焦慮に過ぎたかも知れない。シクリッドなどでは、落ち着かない状況にあると卵がメスに 見捨てられたり、食べられたりすることが良くあるので、その思考をそのままヤドクに置き換えてしまった のがそもそもの間違いだったともいえる。しかし、様々な状況から判断すると、ある意味人工孵化に 切り替えた事も悪い事ばかりではない。まず、なにより良い経験になるだろうし、うまく行けばオタマの 管理がしやすいという事もあげられる。
 まだまだ未知な部分がおおすぎるゆえに、様々な試行を繰り替えすのはきっと無駄ではないだろう。
 その意味でも、この日からヨウ素を飼育水に添加する事にした。SLSを回避するための飼育ノウハウの確立、 そのごく小さな一歩にでもなればいいが、と思う。
 ただ、霧吹きで直に蛙に塗布したところ、その薬品がオスに変化をもたらしたのか、なにか刺激を 与えるような物質が含まれていたのか、オスがやたらと葉影に隠れるようになってしまった。直に霧吹きするのは 良くないようだ……これもまた小さな一歩だろう(苦笑)
 また2、3日様子を見てから、今度はビバリウム全体に霧吹きしてみようと思う。



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TOPICS【D.ventrimaculatusの求愛及び産卵行動】




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