飼育日誌 vol.07 [1998年4月13日〜4月17日]




前足が生えそうなオタマ

4月13日(月)
 先週末は忙しくて、まったく生き物達の世話ができなかった。唯一サラマンダーのケージ をセットし直したことぐらいだろうか。
 Wild Skyには今週ヤドクが入荷するそうだが、私の欲しいD.ventrimaculatusは入 らないようだ。
 D.pumilioが欲しい。しかし、このままD.ventrimaculatusの調子があがらないようなら、購 入は控えるべきだと考えている。どちらにしても資金がないのだから話にならない。一時は「借 金してでも……」と思っていたのだが、急ぞろえではうまく行かないという事が身にしみて分か ってきた。最近飼育を開始したサラマンダーがいい例である。ケージをしっかりと準備してか ら、全ての生き物は導入されるべきである。……って、この私がいくら言っても全然説得力が ないのだが。



まだ前足が生えない。

4月14日(火)
 オタマが孵化してから、ちょうど50日が経つ。2カ月弱である。そろそろ上陸しても良い頃 だと思うのだが、なかなか前脚がでてこない。それほど心配はしていないのだが、やはり心配は 心配で、毎日「でろ〜、でろ〜」と恨み言のように唸っている始末である。
 オタマの変態と言うと四肢の話に注目しがちだが、良く見ると口もちゃんと形態を変えている のが分かる。小さく丸い、ギザギザのフチをもったオタマの口から、パックリと切れ広がっ た蛙のそれへと。
 クロマのディスカスプロという餌を与えているが、落下したハエも良く食べている。変態中は 代謝の速度が上がるのか、飼育水は汚れが早く、昔懐かしい田圃の匂いを醸している。


久しぶりの雌蛙。

 雌ガエルについては、Wild Skyの松園さんに助言を頂いた。
「脱皮が順調なら、あまり心配しなくても良い」との事。確かに蛙自身の調子が悪い訳ではなく、 ビバリウムの機能低下による環境悪化が脱皮の理由のようだ。
 私の蛙用ビバリウムは上げ底になっており、スノコの上に、中性軽石、大磯砂、アクアソイル と下から順に敷いてある。それらの床材が目詰まりをおこし、ビバリウム全体の飼育水の循環が うまくいっていないのだ。
 水槽奥の地上面はすでに完全に水たまりとなり、そこから水が水槽手前の方へとあふれ始め ている様子。そのため、アナナスが根ぐされをおこしたのか、枯れ始めてしまった。こうなると 水も一気に悪くなるもので、水槽前面につく露も白く濁って、ビバリウム内が見えにくくなって しまった。これはもう、今週中には手を打たなければ。仮のビバリウムを組んで一旦蛙を移し、 その間にもう一度ビバリウムを組み直す。
 資金が足りれば良いが……。
 オタマの前脚はまだ出ない。もう「バリっといけ!!」って感じである。実際はどんな風に生え てくるのか楽しみだ。



尖がって、突っ張って……


生えたっ!!

4月15日(水)
 私の祈りが通じたのか、オタマの前脚が突然生えた。
 本当に突然「バリっ!!」と皮を突き破って生えてきたようである。オタマの変態がこんなに無茶 なものだったとは。自然と言うのは意外と大胆なものだなぁ……と痛感する。
 まだ、右前脚だけだが、近日中に左前脚も生えてくるだろう。これまた今週末に上陸用飼育槽 を作らなくては。うまく育ってくれるといいのだが、問題は餌である。JFROG NETのメンバー の方で、やはりD.ventrimaculatusのオタマを育て、変態させた方がいたが、その方のところで は蛙になりたてでもハエを食べたそうだ。このハエに工夫があった事は言うまでもないが、う ちの仔蛙はとてもハエを食べられるサイズになりそうもない。
 餌の事がとても心配だ。トビムシを集める日々になるのか? う〜ん、どうしたものか。



流木の下に身を潜める。


上:オタマの右腕は立派に。
下:久しぶりの雌ガエル。逃げてます……。

4月16日(木)
 オタマの足に模様が現れてきた。Reticulated模様である。うっすらと蒼白い網目が、後ろ足、 前脚と順に。頭部及び背中の模様は、くっきりとし、親蛙に比べても遜色無い。雄ガエルの特徴 であった背中の「J」マークは受け継がれなかった。


左腕も生えてきた。

 私は、飼育している生物にあまり名前をつける方ではないのだが、私のヤドク飼育開始と JFROG NET開設時期が比較的近かった事もあって、密かに雄ガエルを「J(ジェイ)」と名付けてい たのだ。しかし、あまりに早く、死んで(殺して)しまったので、縁起が悪いと思って公開を差 し控えていたのだが、ついには胸の中に秘めておく事ができなくなってしまった。オタマが蛙の 姿になるにつれ、嬉しいのと同時に、生きていた雄ガエルの想い出が甦ってしまう。
 乾燥した「J」のミイラはまだ私の手元にあるが、このオタマが無事に変態したあかつきには、 「J」を埋葬しようと思っている。
 なぜ「J」と言う名前を公表しなかったかの理由に、雌のいい名前が見つからなかったため、 と言うのが一つある。
 雄ガエルの背中の模様が曲がっていたから「J」ならば、当然雌もそれに従った法則に基づい て名付けたい。しかしそれだと「I」になってしまう。「アイ」ではちょっと飯島愛すぎるの で悩んでいたのだ。片方が「J」なら、もう一方は「G」でもよかったのだが、「GGG」からは 時期がズレていたし、雌ガエルがなぜ「G」なのか、解らない人に説明するのも面倒臭 そうだ……などと考えているうちに「J」が逝ってしまい、雌ガエルの名前はないまま ということになったのだ。
 まぁ、そんなことはどうでもよい事だが。
 俗世の仕事も一段落し、週末には一斉に事が動きだす。蛙用ビバリウム、オタマ用飼育槽、 サラマンダー用ビバリウム。
 ちょっと大変かも……。



シャーレに移して上から撮影。尻尾がこんなに長い。 体長は尻尾を含めて31mm。


こんなに立派になって。……感涙。

4月17日(金)
 もうリミッターいっぱいだ。ビバリウムの一番奥では水深2cmぐらいまで水がたまり、そこか ら滝のごとく水があふれている。私のビバリウムは、一応植物のためを思って、手前を低くし、 後ろにいくにしたがって高くしてある。そうしておいて後方には水が多すぎるとダメな種類を植 え、手前には常に根が水に浸かっていても大丈夫な種類と、クリプトやミクロソなどの水草が植 えてある。しかし、こうなってしまうと事態は逆転。奥の方では土が目詰まりして水たまりにな り、手前ではその分水位が下がるといった現象が起こり、その上、スノコの下から水を吸い上げ ているスポンジフィルターから出る水が勢いを失ってきた。これは水圧が上がった為である。ビ バリウム全体の水の流れを考えた場合、外部フィルターが吸えば吸うほど、水槽下部の水圧が高 まり、同時に土は硬く詰まっていく。そこを通る水はさらに少なくなり、どんどん水圧は高まる といった悪循環が起こっているのだ。
 このシステムに対してアクアソイルを選んでしまったのが今回の失敗だった。
 次回ビバリウムを組む場合にはもっとシンプルなシステムにしようと思う。土壌が硬質化し、 水が流れなくなったために、アナナスが一気に枯れ始めているのだ。しかもそれが水槽の奥に 植えた物なのだから頭が痛い。私の考え、そのシステムは目の前で崩壊しつつある。
 気を取り直して次のビバリウムに期待しよう。失敗が多かったため、多くの反省点を改善で きると思う。
 今まではアナナスの葉腋で寝ていた蛙も、昨日ぐらいからポトスの葉で寝るようになってし まった。
 オタマの方は両前脚が生え揃い、ほとんど蛙になりつつある。早く上陸させたい一心から、 プラケースに小さな流木を入れたところ、流木の影に潜んだりしている。こんなに小さく、 昨日までまるで意志など感じられなかった生物が、本当は意志をもっていたんだと知って、 なんだが心がくすぐられるようだった。



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